クラッシュログ(naked)
強盗
- 2008-04-20 (日)
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※気まぐれに過去ログを上に持って来てみました。
とある小さな郵便局。
局内には、キーボードの音だけがカタカタと響いている。
待合コーナーには老人の男女2人が黙って座っているのみ。
客かどうかは分からない。単なる暇つぶしかもしれない。
田舎によくある、のどかな午後である。
そこへ、サングラスにマスクをした男が音もなく現れる。
よく分からない球団のキャップをかぶりなおしつつ、窓口に立つ。
三本木 いらっしゃませぇ
と、女子局員の三本木のり子、微笑む。
微笑みを保持したまま待つが、男は何も言わない。
痺れを切らした三本木、切り出す。
三本木 本日はどういったご…
男、ジャンパーのポケットからすばやく拳銃を取り出す。
三本木 きゃあああ!
男 騒ぐんじゃねえ!
三本木 きゃああああああ!
男 騒ぐんじゃねえ!
局長の大沼、奥からやってくる。
大沼 どうしたんだ三本木くん!
三本木 きゃああああああ!
大沼 どうしたと言うんだね、三本木くん!
三本木 きゃ、きゃ、きゃあああああああああ!
大沼 ど、ど、どうしたんだあああああああ!
三本木 きゃ、きゅ、局長ぉおおおおおおおお!
大沼 いち、に、三本木くぅううううううん!
男 さ、わ、ぐんじゃねえ!!!!!!!!
男、拳銃の尻でカウンターをドン! と叩く
ピタリと静まり返る局内。
銃口は三本木の眉間に向けられている。
男 金を出せ
三本木 きゃあああ!
男 黙れ馬鹿野郎!
大沼、振り返らずに奥に向かって声をかける。
大沼 小野寺くん、金庫、金庫を開けてくれるか
小野寺 ハ、ハイ!
大沼 しばらく、しばらくお待ちください
男 さっさとしろ!
大沼 小野寺くん、急いで
小野寺 ハ、ハイ!
大沼 早急に用意させますのでっ!
ジリリリリリリリリリリリリリリ!
突如、けたたましくベルが鳴り響く。
男 やりやがったなこの野郎!
大沼 もう逃げられないぞ!
三本木 局長!
大沼、不敵な笑みで背広を脱ぎ、一振りしてまた羽織る。
三本木 なんの意味もないわ!
男 ふざけた真似しやがって
男、待ち合いコーナーの老女を捕まえ、銃口を向ける。
大沼 タヅさんが!
男 ぶっ殺す
三本木 きゃああああ!
男 いちいちうるせえんだよ、このアマ!
大沼 お年寄りになんてことを!
男 なんなら隣の爺さんも仲良くあの世にどうだ?
三本木 違うわ!
大沼 その人は地井さんだ
三本木 地井っていう名字なの
大沼 爺さんじゃないんだよ
地井 あ、はい、地井ですだ
男 んなこと聞いてねえ!
パトカーのサイレンが遠くから聞こえる
男 おまえら全員、壁際に並べ!
暗転
大沼、三本木、小野寺、地井、両手を上げたまま壁際に立っている。
男 こうなった以上、全員に死んでもらう
大沼 そんな……
三本木 やだ、やだやだ
銃口を突きつけられたままのタヅ、ぶるぶると震えだす
タヅ う、う、ううう…
男 ははは、婆さん、死ぬのが怖いか
タヅ 孫に、最後にひと目、孫に会いたいのう
男 悪いがそうは行かねえな
大沼 わ、私には妻と娘と息子がいる、会わせてくれ!
男 ダメだ
三本木 ワタシ、来月、結婚するんです
男 諦めるんだな
地井 畑のキュウリさ水をくれたい!
男 空気読もうぜ、爺さんよ
小野寺 う、う、あう
男 なんだ若いの
小野寺 あの、パ…の、消し…
男 テメエ、はっきりしやがれ!
男、大声で怒鳴りつける。
すると小野寺、シャンと姿勢を正し、キリリとした顔つきになり、
一気にまくしたてる。
小野寺 じ、自分がもしいま死んだとして葬式とかが終わったあと、パソコンのハードディスクに入っている滅相もない画像やけしからん動画を父や母や姉や妹や弟が発見したとしたら、見つけたとしたら、ああ、目にしたとしたら……う、ううう、ううううう
大沼以下全員、呆気にとられた表情で小野寺を見つめている
黙ったままじっと小野寺を見つめる男
男 ……行け
全員 え!?
全員、素っ頓狂な声をあげる。
男 早く行け
小野寺 あ、ああ、ええと
男 オレの気が変わらねえうちに行け!
小野寺 ハ、ハイ!
小野寺が出口に向かって走り出したその瞬間。
男 ちょっと待て!
銃口を向ける男。
小野寺、反射的に両手を挙げる。
全員が息を殺し見守る。
小野寺、恐怖で口をパクパクさせる。
男、少し下げたサングラスの隙間から小野寺を見る
男 ブラウザのお気に入り、消すの忘れんなよ
小野寺 ……ハ、ハイ!!!
「ウィィ」自動ドアが開く音とともに、
パトカーのサイレンが局内にどっと流れ込んできて、
ドアが閉まると同時に、ふたたび静寂が局内を支配し始める。
地井 は、畑のキュウリさ水くれたいんだが……
暗転
終幕
めざせ!金メダル
- 2010-03-22 (月)
- ダイアローグ | 遺伝子組み換えでない
あー、オリンピック出てー
「肉食いてー」なノリね
マジ、金メダリてー
誰キャラなの?
なんも家ねえっす!
いまさら北島?
家もなんもねえっす!
メダルどころじゃないじゃない
ロンドンに向けてなんかよさげな種目ないかなあ?
いまから? そして、そこから?
ヒカルちゃん、伸びる種目知ってるんでしょ〜?
先物買いの銘柄じゃないのよ勅使河原さん
お願いお願い教えて教えて!
そんな他力本願な口火でいいの?
いいかもしんない
正式種目じゃないけどいいかしら?
ハードル低そうなのがいいな
んー、じゃあ、カバティなんかどう?
カバティ!?
そう「カバティカバティ」って言いながら相手にタッチする競技よ
あー知ってるー!
「カバティカバティ」言いながらおっぱいにタッチするやつだ!
「するやつだ!」じゃないわよ!
あ、タッチしていいやつだ
カバティは公然猥褻の免罪符じゃないわ!
それに「あ、」ってなによ
『いつもの街角が、戦場になる。カバティ』
ハンサムづらでいい感じのキャッチコピー呟いてもダメ
カタカタカタ・・・
ツイッターでなにしてるの?
「日曜日、駅前で無差別カバティするよ!」
勅使河原さん、それ、捕まるんじゃないかしら
じゃ、どこでカバティすればいいワケ!?
逆ギレないでよ
トレーニング環境ダメすぎるでしょマジ日本
バカっ! そんなの自分で切り開くのよ!
・・・わかったよ
ずいぶん素直なのね
カバティ、カバティ、カバティ、カバティ!
さあ、トレーニングしようじゃないかヒカルくん!
キャー! やだやだ! 触んないでよ!!!
ふぇっふぇっふぇっ!
おまわりさ〜ん、たすけて〜!
交番なう
絶対音感
- 2010-02-28 (日)
- ダイアローグ | 遺伝子組み換えでない
「ワタシ、絶対音感なの」って人がいたんだよ
うん
なんだか嘘くさいよね
そうかしら?
「今のビンタの音、ドよ」って。
言ったのね?
そう、「今の金切り声、ラよ」って。
どういう状況なの?
合ってるかどうか確かめようがない
信じるしかないでしょ
言ったもん勝ちな気がする
勝ちかどうかは分かんないけど
いや、アイツ、絶対に絶対音感じゃない!
ややこしいわ
絶対音感のフリ、ダメ、絶対!
他にもネタあるなら全部出しちゃって
もうない
引き出し狭いのね
同じ絶対なら絶対敏感の人がいいな
なんなのそれ?
ちょっと触れただけで声が出る人
ただの感じやすい人じゃない
その通りである
ふんぞり返って言うことじゃないわ
「いい!いいー!」って言うよ
そりゃ言うでしょうよ!
はい、今の「いいー!」の音階は?
絶対敏感の絶対音感!?
どんなドレミを奏でたのかな?
え?アタシが答えるの?
さ、言ってごらん
しょうがないわね一回だけ付き合ったげるわ
は、はやく
えーと「ファ」かしら
え? 聞こえない
ファ
も、もう一回
ファ!
もういいでしょ!?
お願い!
しつこいわ!
お願いお願いお願いお願い!
んもう!ヘンタイ!!!
はやくはやくはやく!
もうやけくそだわ
ハアハアハアハア
ファ! ファ!
もう一丁!
ファ! ファ! ファ!
ついでにもう一丁
ファ!ファ!ファ!ファ!ファー!!
最後にもう一回!
ファーーーー!!!
・・・チッ、OBかあ
キャディじゃないわよ!
拝啓、責任者様
- 2010-02-14 (日)
- 遺伝子組み換えでない | 雑念エッセイ
とあるセルフうどん屋で、ぶっかけと天ぷら2品を盆に乗せカウンター席についた。半熟たまごと小エビの天ぷらに味をつけるべく醤油を傾けると、蓋と本体のつなぎ目部分から中身が漏れ出て、盆の上にだらしない足跡を残した。
なんだよこれ。私は隣の席の醤油をさらい、再び傾ける。ところが今度は出ない。一滴たりとも出てこない。何度も強く振り続けるとようやく、吐きたくても吐けない酔いどれ女子の吐瀉物のように、気持ちばかりの小さな滴がぽたりと降ってくるだけ。見てみると案の定、後頭部の穴が塞がっている。私は一旦、割り箸を盆に置き、爪楊枝を後頭部の穴にプスっと差し、息をさせてやった。
この時点で私の食うぞゲージは35以下に低下。「すいませーん!」。店員を呼び、この体たらくを知らせるべきかとも考えたが、やめた。醤油に振り回されたみじめな気持ちでは、どんな柔らかなもの言いを心がけてもトゲが出る。ましてや狭い店内、女性セブンが好きそうな中年女性の耳目を集めることとなり、彼女らに「みみっちいクレーマー」のレッテルを貼られることは目に見えている。かといって、各席に備えられているご意見どうぞの紙切れに訴えを書写するのも回りくどくて男らしくない。
東京に住んでいた頃、とある定食屋で冷しゃぶ定食を注文した。リーズナブルな価格帯から考えても作り置きであることは十分に承知していた。してはいたのだが出てきたそれは、明らかに干からびていた。ショーケースのサンプルかと見まごうばかりにカチカチのカサカサ。どう考えても客に出していいレベルとは思えなかった。私は憤怒した。「ビーフジャーキーかよ!!!」。言えなかった。10対0で勝てた物件なのに。今考えてみるとあれはきちんと言うべきだった思うのだが、当時の私は東京に怯えながらの暮らしを始めたばかりで、調理場のカーテンの奥に憎悪の視線を送りつつ、心の中指を立ててファックファック言いながら食べた。熱いものをハフハフ言いながら食べるみたいに、ファックファック言いながら食べた。
きちんと苦情を言う。それがサービス向上につながることは分かっている。分かっていても言えないのは、それがとてもエネルギーを消費する行為だから。だったらそのエネルギー、他のことに使おうよ。・・・というのは表向きの理由で、ただ単に勇気がないしめんどくさいだけ。だから、行き場のない怒りをこの場でこうして繰り出すことしか私には出来ない。そして、このひどく遠回りな攻撃が光回線や電波を通じ、前述のうどん屋や定食屋のスタッフの画面にいつかは届きますように。そんな願いを込めて書いている。ファックファック言いながら書いている。