八七日記


■8月7日。「鼻の日」であり、のび太の誕生日であり、花輪君の誕生日でもあり、桑名正博の誕生日でもあり、タレント斉藤みやび(聞いたことない)の誕生日でもあり、有珠山が大噴火した日でもあり、パンパシフィックホテル横浜が横浜市西区みなとみらいに開業した日でもあり(どうでもいい)、私がめそめそ泣きながら生まれた日でもある■3回目の干支が巡ってきて不惑の年がすぐそこに見え隠れしているというのになんだこのふわふわ具合は。依然としてウンコチンコの話題でゲラゲラ笑えるなんて具合悪いわ! 四六時中眉間に皺寄せる年頃かと思ってたWA!■ていうか「鼻の日」ってなんなのか。鼻をどう特別扱いすればいいのだろう。■という話は置いといて、最近、チャックの閉め忘れが多すぎて困る。週3回ともなるとうっかりで済むレベルではなく、ハラスメントか露出狂、どっちなの? そんな二者択一のレッテル決断を周囲から迫られることとなった。■下げる→用を足す→上げる。切っても切れない一連のスリーアクションの大トリを忘れてしまう自分自身のぼんやりさ加減も怖いし、チャック全開のまま肩で風切って歩いていたであろう自身の姿を想像するとさらに怖い。■最近twitterにポストした「おっぱいチキンレース」(気になるあの子のおっぱいから何秒間目を離さずにいられるかを争う競技)の文字列を読み返したら、なんだか悲しくて、笑えてきた。■かあさん、ボクを生んでくれてありがとう。■知ってるけど会ったことない画面越しのお友達から「おめでとう」の言葉をもらって嬉しかったので久々にキーボードを叩いてみました。ありがとうございます。

七三日記(0413)


■夜、食器を洗いながら、ものすごくか細くてそして長い、聞き耳を立てなければ聞こえないくらいの屁をしたら、廊下で寝ていた猫がビクッと起き上がってガラス越し、闇夜に向かってニャーと鳴いた。どうやらオレのした屁が、雌猫の鳴き声に聞こえたらしい。■屁で声帯模写、いや違う、これはなんて呼べばいいのか、屁帯模写? 肛門模写? というかそもそも声帯模写とは、声帯「で」模写するのか、声帯「を」模写するのか。そのスタンスが曖昧なまま、安易に「肛門模写」などと呼んでしまっては赤っ恥をかくことになる。しかしインターネットをフル活用しても、その答えは導き出なかった。■猫が風呂場の小窓から先を急ぐようにひゅいっと、弧を描いて出掛けた。雌猫なんていないのに。■会社の先輩Yさんが女の子を紹介してくれるという。ニャー! なんでも前職の知人女性Mさんからの紹介だそうで、図式としては、オレ→Yさん→Mさん→女の子である。■割と近くに住んでいる。愛想がよい。太ってはいないが中肉中背である。はっきり分からないが26歳くらいである。などの情報を得、そこそこにテンションが上がる。■こちらサイドからも、身長170センチ弱・体型スリム、くだらない妄想を内に秘めた35歳。などの情報を提供し、一旦、向こうサイドの反応を待った。付き合うかどうかなんてのは別問題として、一回みんなで飲みいこうか。なんて談笑しながら。■翌日、Yさんは言った。「昨日の子、22歳なんだって。で、35歳はちょっと、だってよ」■おーいカァさん!ちゃぶ台持ってきてー、ひっくり返すから!■誰も悪くない。そう、誰も悪くない。私のために奔走してくれたYさんMさん相手の男が35歳だと聞かされた22歳の女の子。そう、誰も悪くない。一個人のために見せてくれたYさんMさんの素晴らしい連携プレイには頭が下がるばかりだし、自分が女だったとしても干支が一周以上しちゃってる男を押しつけられるなんてまっぴらごめんだし。だから、そう、誰も悪くない。■しかしそうは言ってもやね、切れ味の悪い包丁でギコギコ切られたみたいにオレは傷ついたし、辛くて酸っぱい現実を味わわされてすごく悲しい気分になった。善意×善意イコール無邪気な悪意。■オレはその夜、机の上の小窓に向かって先を急ぐようにぴゅっと、短い放物線を描いた。

七三日記(0616)


 
■久しぶりにボールペンで字を書いた。■普段はプリンタ出力している荷物の送り状であるが、よんどころない事情により手書きすることになった。■新潟県新潟市の、社名に「新潟」を含む会社が送り先である。■よりによってバランスの取りづらさ、書き順の分からなさでは一芸に秀でている「潟」を書くことになろうとは。■「山田一郎」などといった画数の少ない漢字でのリハビリ書き取りを要する人間に、いや、「山田一郎」の「郎」の「耳たぶ」的なパーツの曲線でさえおぼつかない私に「潟」を書けと言うのは、もはや頓知の領域ではないのか。■『さあ、「潟」を書きますから屏風から「潟」を出してください!』■それはともかく「潟」である。■切れっ端で何度も練習したがうまく書けない。やはりネックは「臼」の部分である。■「ていうかこの部分、「白」でも大丈夫ですよね?」と総務部のおねえさんに聞いてみたが「ダメよ」と言われてしまった。いったいなんの必要があって切れ込みが入っているのか説明してもらいたい、「臼」よ。■ついでに言うが「飛」も嫌いだ。ポジティブ漢字の代名詞を気取っているようだが「潟」に負けず劣らずバランスの取りづらい漢字である。■「潟」はまだ「さんずい」という位置基準が存在するが、「飛」にはそれがない。おかげで書き始めが非常に心許ない。ていうかなんなの? あの、右側の「ちょんちょん」の部分。もしかして「飛んでますよ」みたいな雰囲気出してるつもり? まさか俺たちのこと馬鹿にしてる?■あ、あともういっこだけいいですか? あ、ダメですか? いいよね? 減るもんじゃなし。■「州」。これもダメ。象形文字からまるっきり進化してないじゃんアンタ。って言いたくなるような風貌してるくせにバランスの取りづらさは天下一品。■短い、長い、短い、長い、短い、なが縲怩「。って、俺たちそこまでアホじゃないですから。まったくほんとに失礼しちゃうわ。

 

七三日記(0406)


■タイヤを交換した。■重い腰をようやっと上げたのは、暖かく晴れた気持ちの良い日だったから。曇ってて寒かったら確実に延期してると思う。■力まかせに堅く締めたせいか、ナットをひとつナメてしまった。冬タイやに交換するとき、うまく外れるかなあ。ああ、心配のタネを増やしてしまった。■交換したその足で、電気グルーヴの新アルバムを買いに走る。「申し訳ありません、お取り寄せになります」と言われた。今週出たばかりじゃないですか! あなたの店、なんで置いてないですか? と詰め寄りたい衝動を抑え、巨大ショッピングモール内のTSUTAYAへと足を伸ばす。■混みすぎ! ガソリン安くなったし天気もいいしで駐車場はビッシリ。ホント単純で分かりやすくておめでたいよなアンタたちはよおお! などと悪態をつきながらやっとやっとでスペースを見つけて駐車したのにアルバムは売ってなかった。なんで?? ああもう次、次、次の店もってこい! とTSUTAYAを飛び出したものの、どこに車を停めたのかさっぱり覚えていない。2300台収容可能なだだっ広い駐車場をゾンビのように歩き回って、やっとやっとで発見する。安堵で涙腺が緩んだ。■こうなったら意地でも買って帰る! という気分で足を運んだ次の店でようやく発見。ラスト1枚だった。キャッホーと歓喜の声を上げたが、またもや車を見失ってしまった。■今度は1900台収容可能な立体駐車場である。出入口がいくつもあって、もはやどこから出入りしたのか覚えてないし、得意の方向音痴ぶりを発揮してしまい完璧に自位置が分からなくなった。■またもや駐車場をゾンビのようにふらふら歩き回り、まるまる一周して発見することができた。まるまる一周。てことは、はじめの一歩を逆に踏み出していればすぐに見つかったということだ。■知らない土地で迷ったときに、ええい! と踏み出す一歩が8割の確率で逆方向。ということを踏まえて逆を選択したとしてもやっぱり逆方向へ進んでしまうので、方向に関しては何もかもを諦めている私だ。■帰巣本能がゼロなんじゃないかと思っている。もし私が犬だったら半径2kmに捨てたとしても戻ってこないし、勝手に散歩に出かけて戻ってこない可能性だってある。来世で犬に生まれたらどうしよう。心配のタネがまたひとつ増えた。

七三日記(0323)


 
■天然パーマがはじけてきたので美容院に電話をしたら「午後4時以降で」と言われたので行くのをやめた。当日予約だから仕方ないものの、どうにも時間が中途半端すぎる。慣れない職場で疲れている私に対し、空が茜に染まる時分から動き出せとは。どんな頓知でも処理できないと思うよ。■ということで一日中部屋でうねうねごろごろしていた。■新しい職場で私は、下の名前で呼ばれている。同じ名字の人がいるからである。当初は、新参者の私を名字で呼ぼうと決めたのだが、古参の方が下の名前で呼ばれることを断固拒否したのだ。■それにしてもいい天気だ。窓から流れ込む風が心地よい。家にいる場合じゃない! と思っているのに、どうしてもジャージから着替える自信がない。脱ぎ捨ててある私服を拾って着るだけなのにおかしな話である。■そんなわけでインターネットばかり見ていた。とは言っても、見たいページがあるわけじゃなく、なんとなくお気に入りをクリックしたり、RSSのニュースを斜め読みしたり、ヤフートピックスの『アッキーナ「サ行が言えない」』などを読み、ひどくどうでもいい気分になっていた。■始めっから下の名前で呼ばれることには多少抵抗があるものの、まあ、30半ばにもなって「まとはずれ君」とか「まとはずれさん」などと、オフィシャルな場で呼ばれる機会なんてそうそうないんじゃないかと考えるとなんだか楽しい。■3月23日。そういえば今日は、友達の女の子の結婚式だったと気づく。ちょうど今頃は沖縄で式の真っ最中のはず。片や、歯も磨かずにサンデージャポンを眺めている自分。なんだろうな、この負け感は。いやまあ、他人と比べてもしょうがないんだけど。あ! そういえばちょっと前にこんなメールが来たんだった。■「一生に一度のお願いしてもいい? 結婚式のとき、ミッキーとミニーのブライダル電報がほしい縲怐cダメ?」■若干の苛立ちを感じたけど、インターネットからすぐに手配した。祝い事をケチるなんてみみっちいじゃない。たかだか税込み3,990円ぐらい。と思っていたが、合計金額は5,000円を超えていた。電報って、お祝い文の文字数で値段が変わるのね。送ったことなかったから知らんかった。知ってたら切り詰めたよ。うわー、みみっちい。■下の名前で呼ばれることには問題がないわけではない。もし、仕事で大きな失敗をしたとき、どう呼ばれるのか。下の名前で呼ばれながらこっぴどく怒られるという状況がどうにも想像できない。緊張感が大きく損なわれるのではないか。しかしこれは、呼ばれる側ではなく呼ぶ側の問題なので、私にはどうすることも出来ない。さあ、どうする? どう呼ぶ?