とち狂いはどっちだ


 

合流地点

側道からバイパス道路への合流地点でウインカーを左にカチカチしているトラックがいたので「なにをとち狂ってやがる」とひとり運転席で毒づいておったらばなんとまあご覧のとおり標識もとち狂っていたわけですがいやいや待てよ待ちなさいよと国道を飛ばしながら腕組みして考えてみますってえとむしろ右ウインカーをカチカチしたワタクシほうがとち狂っているのじゃないかと青ざめ、いや道交法に絡めてウマいこと言い直せば赤ざめたわけですが要するに合流地点ってのは「超・鈍角な左折」なんでして、垂直なカタチのT字路がありますでしょ?それをどんどんどんどん寝かせていきますとホラ、写真のようになるわけでしてそうですそうなんです合流のウインカーは左で正解なのであります……たぶんきっとおそらくですけど(調べる気ゼロ)

 

お小噺


なんでも往来で下着を見せびらかしていた自称20代の女性が逮捕されたなんてニュースを少し前に目にしたわけですけれども、けしからんのは30代女性が20代だと年齢を偽っていたことでもなく、公衆の面前で下着を露にしたことでもなく、この前スーパーで買ったイカそうめんが全然切れてなくて、単に切れ目の入ったベローンとしたでかい刺身だったということに尽きるのでございます。さておき「下着を露に」というと、なんだか必要以上にいやらしい語感なのはこのところの暑さのせいでしょうか。そんなふうに世の中乱れに乱れておるわけでございます。

とまあ、乱れるには乱れるなりの理由があると考えるのが道理でございまして、これは種の法則とでも申しましょうか、遺伝子が持つ多様性を生むチカラといったような作用が肌理細かく世間に影響を及ぼしておるやもしれません。ひとくちに「焼肉屋」と申しましても無煙ロースターもあり七輪のような炭火もあり、果てはコスプレ焼肉などという風俗まがいのけしからん焼肉屋まで登場する始末。いくら多様化するのが宿命とはいえコスプレはない。中途パンパすぎるではないですか。いっそノーパンぐらいまで進化せねば世間様は納得しないってものでございます。

とまあ、科学的根拠に基づいて世間の乱れを認めるにしろ世の中というのは不思議なもので、氾濫が起きると淘汰が始まるんですね。増えれば減る、開けば閉じる、電球は光る、光るは親父のはげ頭、といった具合に自浄作用というか自然淘汰という法則もさもありなんでございます。乱れた世の中に品格を!作法を!と言わんばかりに、最近ではそのテの書籍やらセミナーやらが流行の兆しを見せております。また、コンプライアンスなんていうまやかしの呪文で規制に縛り付けたりする傾向もありまして、収束するチカラには猜疑的な念を抱かずにはいられないものです。

とまあ、規制や淘汰が悪いような物言いをしてしまいましたが「品格」なんてのは我々現代人が忘れがちな大事なナニカであることは間違いないわけでありまして、せいぜい人様に後ろ指を指されない程度には品格を纏いたいと思うわけでございます。手っ取り早いところでは丁寧な言葉遣いなんてのがありますが「お紅茶いかが?」なんて結構じゃありませんか。「お砂糖はおいくつ?」なんて訊かれたら思わず「お万個お願いします」なんて言ってしまいそうでございます。そして嗜み。絵画なんて良いと思いますね。芸術は心を豊かにしてくれます。

おアートがよろしいようで

サービスって、なんだろう。


 かれこれ2年以上も通っている美容室で、カットの前にアンケートを書かされました。

本日のカット担当の希望はございますか
□男性
□女性
□どちらでもよい

アシスタントの希望はございますか
□男性
□女性
□どちらでもよい
(ご希望に添えない場合がございます)

 なるほど。サービスの質を高めるためのアンケートですか。
 そりゃまあ、どっちかって言ったら女性の方がいいけど、自分の中では美容室は苦行の場であって、カットの最中は「居心地の悪さに耐える」という作業に没頭しているのでどちらでもあまり関係ありません。というか、アシスタントの希望まで聞くってのはどうなんでしょうか? そういうわけで「どちらでもよい」で。

仕上がり時間のご指定はございますか
(  時  分頃)

 忙しい人向けの設問ですね。基本的に髪を切りに行く日は後の予定を入れないことにしているので関係ありません。カットの最中に聞かれるよりはマシでしょうか。この設問は無記入で。

シャンプーの際の強さはどれくらいがよろしいですか
□しっかりとした力で
□程よい力で
□弱い力で

 なるほど、強さですか。強さ、強さね。うーん、分かんない。強さの基準が分かんないから「程よい力」で。

肩のマッサージのお好みはございますか
□強くやってもらいたい
□程よくやってもらいたい
□弱くやってもらいたい

 また強さ?? 正直、ここまでサービスのレベルをすり合わせる必要あるの? って疑問に思うんですけど。ここもまあ「程よく」で。

普段、どんな雑誌をお読みですか
(           )

 オシャレな雑誌のひとつも書いておきたいところだけど残念ながら。もし「デラべっぴん」って書いたらどういう雑誌をチョイスしてくれるのか。なんかこの設問に関してはセンスを丸裸にされそうなので無回答。どっちみちアレを読まされるわけでしょう? CUTだ、CUT、CUT持って来ーい!!

以前に、パーマ液などで湿疹等が発生したことはありますか
□ある
□ない

ご希望のカットはお決まりですか
□決まっている
□決めていない

 おっと、ようやく実用的な設問が。
 ていうかさオレってさ、ヘアスタイルに明確なビジョンを持たないっていうスタイルを突き通してるジャン? だから「どうなさいますか?」って聞かれても困っちゃうんだよねー。まあ美容師も困るんだろうけどねー。ま、だからこの設問は胸を張って「決めてない!」って言えるチャンスをオレにくれたよねー。ていうか、ていうかさ、このアンケート長くね? そろそろ終わりにしたいからサクサクって次の設問行っちゃおうぜー。

カットの際、お話ししたいですか
□話したい
□程よく話したい
□静かにしていたい

 開けよった。ついにパンドラの箱を開けよったでこの美容室は。血の巡りがカァーってなったし、全身がズゥンって感じになりましたよ。このエリアにはどんなことがあっても触れたりしないという協定が、私たちと、あなたたちの間にあったはずですよね? あからさまなデリカシー違反ですよね? そもそも、話したいのかそうでないのか、その辺りの機微を読み取るのが客商売ってもんなんじゃないですか? ここはあれですか? ゆとり美容室ですか? そうじゃないって? ふん、どうだか。そんな必死に言われてもね。

 だいたいね、こんなのがサービスのわけないじゃない。めちゃくちゃ答えづらいじゃない。静かにしてたくても「程よく話したい」につけちゃうじゃない。めちゃめちゃ気ぃ使うじゃない。客に気ぃ使わせてるじゃない。あのさ、もしさ、あなた方がサービスの質を高めたいと思ってるんだったら、こういう設問があってもいいんじゃない?

カットの際、語尾はどうしますか?
□ナリ
□ごわす
□アル

例えばこんな感じ。

「シャンプー台のほうへどうぞナリー」
「かゆい所はないでごわすか?」
「お湯加減はいいアルか?」

 サービスだねえ、すごくいいサービスだねえ。これぞサービスだよ。
 あと、こういうのもあるよ。

カットの際、合間合間にさりげなくチンコを触られたいですか?
□触られたい
□触られたくない
□程よく触られたい

 こういう設問を追加する覚悟があるなら「ゆとり美容室」発言を撤回してあげてもいいんだけど、やっぱダメ? ダメですよね? いや、あの、どうしてもダメ?

モテの病


 モテない。だからモテたい。痛烈にモテたい。「同性にモテる男は女性にもモテる」という言葉が事実ならば男にもモテたい。結論としては女性にモテたい。これまで、全くモテなかったわけではない。わけではないが、「アラ、なんだって美男子だごどぉ」などと言いながら腕をバシバシひっぱたいてくるような年代、もしくは、サロンパス臭を漂わせつつ湿気ったせんべいを「食べっせ」と無理矢理握らせてくるような年代になら、モテてはいた。

 無意識とはいえ、これまでずっと間違ったマーケティング戦略を展開していたのかと思うと、すこぶる口惜しい。これからは若い世代にシフトチェンジする。そしてその上で患いたい。モテの病を患いたい。長引かせてこじらせて年がら年中モテてたい。「持病のモテが」とか言ってみたい。いや、言う。言えるようにする。だから、なんだってやる。これからのオレは、モテるためだったらなんだってやる。なんだって、オレ、なんだってやるよ!

 とにかく、モテるためにあらゆる努力をする。そして、その努力を存分に見せつける。そう、ポイントはここにある。誰も挨拶をしない会社で「おはよう」と声を掛けてもまったく反応がない。「暑苦しいことしやがって」「空気の読めない奴め」などと陰口が聞こえる。それでもめげずに毎日毎日全員へ挨拶をし続ける。するとどうだろう。その努力に心を打たれた人々が徐々に挨拶を返すようになるのだ。そして皆、彼に向かって言うだろう。「おはようをありがとう」って。

 努力をする人間の美しさ。そういった例にならい「モテ」の努力によって女性の心を打ちたい。打ち震わせたい。繰り返しになるけれど、なんだってやる。モテるためだったらなんだってやる。例えば、smartとかstreet JackとかPOPEYEとかLEONとかSPA!とかを欠かさず読みたいし、おしゃれパーマをあてたりしたいし、眉も細く整えたいし、いい匂いのする液体を手首に擦り込んだりしたいし、「これください!」ってディスプレイを指差してライトオンスタッフおすすめのコーディネートをそっくりそのまま買い入れたいし、ちょっとキザなセリフも言ったりしたいし、のべつまくなし「今日もかわいいね」って褒めたりしたいし、モテ薬があるなら飲みたいし、モテフェロモンが出る薬を飲みたいし、透明人間になれる薬も飲みたいし、ホレ薬を気になるあの子に飲ませたいし。

ペットボトルで地球温暖化防止


  
 パソコンのモニタを見据えたままペットボトルのキャップを開けようとしたんですけど固くて回らないんです。強く回してもダメだし、逆手に持ち替えて回してもピクリともしないから、いよいよ肩をいからせて何度も何度もムキになって回して、あれ? なんかおかしいなと思ったらキャップがついてませんでした。親指の付け根がすごく熱かったです。

 周りに聞くと、よくあることなんですってね。あるある! って感じなんですってね。キャップを閉め忘れて、さらにそれを開けようとする。うーん、みんなおっちょこちょいなんですねー。ボクは始めての経験なので、まだまだおっちょこちょい予備軍ってところでしょうか。きっと、おっちょこちょいな人は「おっちょこちょい」をきちんとタイピングすることが出来ないんじゃないでしょうか。・・・・・・なんとなくですけど。

 まあ、そんな話はさておいて。
 考えてみたんですが、こういう事がよくあるってことは、日本全国で何千人、何万人のおっちょこちょいな人が、毎日毎日親指の付け根を熱くさせているってことで、この熱をうまく使えば発電できるんじゃないかと思うんです。名付けて「おっちょちょこい発電」

 なんなら、そういう人を集めた村を作ったらいいんじゃないでしょうか。発電源は、各地に点在させるよりも一カ所に集結させたほうが効率は上がります。そして、大量に生産されるいろんな種類のおっちょちょいを使って、村の電気すべてをまかなえるようにする。村の名前はもちろん「おちょちょい村」です。

 これ、7月に開催される洞爺湖サミットでも話題になるんじゃないでしょうか。「地球温暖化防止への新たなアプローチ。おちょちょい村のおちちちょん発電!」なんて感じでアピールしたりして。今や世界共通語になった「もったいない」みたいに、全世界の人が口にする言葉になるかもしれませんね、「おちんちん」って。