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ダイアローグ Archive

めざせ!金メダル

 あー、オリンピック出てー

 「肉食いてー」なノリね

 マジ、金メダリてー

 誰キャラなの?

 なんも家ねえっす!

 いまさら北島?

 家もなんもねえっす!

 メダルどころじゃないじゃない

 ロンドンに向けてなんかよさげな種目ないかなあ?

 いまから? そして、そこから?

 ヒカルちゃん、伸びる種目知ってるんでしょ〜?

 先物買いの銘柄じゃないのよ勅使河原さん

 お願いお願い教えて教えて!

 そんな他力本願な口火でいいの?

 いいかもしんない

 正式種目じゃないけどいいかしら?

 ハードル低そうなのがいいな

 んー、じゃあ、カバティなんかどう?

 カバティ!?

 そう「カバティカバティ」って言いながら相手にタッチする競技よ

 あー知ってるー!

 「カバティカバティ」言いながらおっぱいにタッチするやつだ!

 「するやつだ!」じゃないわよ!

 あ、タッチしていいやつだ

 カバティは公然猥褻の免罪符じゃないわ!

 それに「あ、」ってなによ

 『いつもの街角が、戦場になる。カバティ』

 ハンサムづらでいい感じのキャッチコピー呟いてもダメ

 カタカタカタ・・・

 ツイッターでなにしてるの?

 「日曜日、駅前で無差別カバティするよ!」

 勅使河原さん、それ、捕まるんじゃないかしら

 じゃ、どこでカバティすればいいワケ!?

 逆ギレないでよ

 トレーニング環境ダメすぎるでしょマジ日本

 バカっ! そんなの自分で切り開くのよ!

 ・・・わかったよ

 ずいぶん素直なのね

 カバティ、カバティ、カバティ、カバティ!

 さあ、トレーニングしようじゃないかヒカルくん!

 キャー! やだやだ! 触んないでよ!!!

 ふぇっふぇっふぇっ!

 おまわりさ〜ん、たすけて〜!





 交番なう

絶対音感

 
 「ワタシ、絶対音感なの」って人がいたんだよ

 うん

 なんだか嘘くさいよね

 そうかしら?

 「今のビンタの音、ドよ」って。

 言ったのね?

 そう、「今の金切り声、ラよ」って。

 どういう状況なの?

 合ってるかどうか確かめようがない

 信じるしかないでしょ

 言ったもん勝ちな気がする

 勝ちかどうかは分かんないけど

 いや、アイツ、絶対に絶対音感じゃない!

 ややこしいわ

 絶対音感のフリ、ダメ、絶対!

 他にもネタあるなら全部出しちゃって

 もうない

 引き出し狭いのね



 同じ絶対なら絶対敏感の人がいいな

 なんなのそれ?

 ちょっと触れただけで声が出る人

 ただの感じやすい人じゃない

 その通りである

 ふんぞり返って言うことじゃないわ

 「いい!いいー!」って言うよ

 そりゃ言うでしょうよ!

 はい、今の「いいー!」の音階は?

 絶対敏感の絶対音感!?

 どんなドレミを奏でたのかな?

 え?アタシが答えるの?

 さ、言ってごらん

 しょうがないわね一回だけ付き合ったげるわ

 は、はやく

 えーと「ファ」かしら

 え? 聞こえない

 ファ

 も、もう一回

 ファ!

 もういいでしょ!?

 お願い!

 しつこいわ!

 お願いお願いお願いお願い!

 んもう!ヘンタイ!!!

 はやくはやくはやく!

 もうやけくそだわ

 ハアハアハアハア

 ファ! ファ!

 もう一丁!

 ファ! ファ! ファ!

 ついでにもう一丁

 ファ!ファ!ファ!ファ!ファー!!

 最後にもう一回!

 ファーーーー!!!

 ・・・チッ、OBかあ

 キャディじゃないわよ!


メロンソーダ

 窓際の席、後ろ姿が見えた。
 呼び出された理由がなんとなく分かっているから、足取りが重い。無言で向かいの席に腰掛けると、ストローで氷をつつく手を止め目を上げた。僕は、彼女の、この上目遣いがすごく好きだ。

「ひさしぶり」

 そう声をかけると再び目を落とし、氷をもてあそびはじめる。深夜の国道を、気が触れたようなスピードで走り去るトラック。沈黙。時間の感覚が麻痺するほどに僕の胃はキリキリと痛んでいて、ああ、もう、この空気、我慢できない。

「あのさ、ハナシっ……」
「ご注文の方お決まりでしょうかー?」

 唐突に店員が現れた。
 僕は手元のメニューを開き、最初に目に入った文字列を口にする。

「あの、コーヒーで」
「お砂糖はおつけいたしますか?」
「はい」
「ミルクはおつけいたしますか?」
「いや」
「ホットとアイスがございますが」
「え、じゃあ、アイスで」
「では、お砂糖ではなくガムシロップをお持ちしますがよろしいですか?」
「えーと、はい」
「ご注文繰り返します、アイスコーヒーおひとつ、でよろしいですか?」
「はい」
「ガムシロップありの、ミルクなしで」
「ええ」
「ではごゆっくりどうぞー」

 誰も渡ることのない横断歩道の青が、急げ急げと点滅している。
 店員によって作られた二度目の沈黙。それを破ったのは彼女の方だった。
  
「そういうところが好きじゃないの」
「え? なにが?」
「今の注文、効率悪すぎ」
「いや、今のは店員のせいだし」
「鈍臭いって言ってんの」
「だから今のは」
「あんたが鈍臭さを呼んでんのよ」
「僕が?」
「そうよ」
「あ、いや、だとしても、それがなんなんだよ」
「別れたいのよ」
「……」

 やっぱり。
 たぶんたぶんと思ってたけど、やっぱり。

「そうか」
「そうなの」
「……じゃあ僕もひとつ言わせてもらっていいかな」
「なによ」
「これって、別れ話でしょ?」
「そうよ」
「じゃ、メロンソーダはないよ」
「は?」
「なんなの? その色」
「別にいいじゃない」
「なんか、沼みたいだし」
「意味分かんない」
「色合いが沼だって言ってんの」
「意味は通じてるわよ!」
「こういうときって、男・コーヒー、女・紅茶でしょ?」
「ドラマの見過ぎよ」
「目がチカチカするよ!」
「知らないわよ!」

 僕たちは、本当にこれで終わってしまうのだろうか。
 嫌だ、嫌だ嫌だ。僕は、彼女が大好きなんだ!

 三度目の沈黙を破ったのは、店員だった。

「サイコロステーキお待たせしましたー」
「いや、頼んでないですけど」
「あ、大変失礼いたしましたー」

 ホラね、と言わんばかりの彼女の視線が突き刺さる。知らない振りをしてふと横を見ると、3つの皿を抱えた別の店員が厨房の方からこちらに向かってくる。

「カツオのたたきサラダお待たせいたしましたー」
「あの、頼んでませんけど」
「失礼いたしました、カツオのたたきご膳のほうですね」
「いやいや、それも頼んでないです」
「カツオのたたき単品お待たせいたしましたー」
「消去法!」
「はい?」
「残ったやつが正解って訳じゃないからね」
「誠に申し訳ありません、大変失礼いたしましたー」

「ちょっと待って!」
「はい、なんでしょう?」
「アイスコーヒー頼んだんですけど」
「あちら、ドリンクバーとなっておりますので」
「え?」
「セルフサービスでお願いします」
「えー!」
「ねねね、ついでにメロンソーダ汲んできて」
「うん!」





メロンソーダ



 

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