ホラー映画が苦手だ。
「怖いから」という単純明快な理由である。なのでホラー映画を観ることはほとんどない。そもそも映画自体をあまり観ないので、数少ない映画鑑賞の機会に、敢えてホラー映画をチョイスすることは皆無に等しい。
観ている間だけ怖いのなら触手を伸ばしてもいいのだが、観賞後も怖さの後遺症がつきまとうから困る。夜中、トイレに行けなくなる。風呂場で髪の毛を洗っているとき背後に何かの存在を感じる。といった、「あるある!」という声が聞こえてきそうなステレオタイプの後遺症。それさえ無ければ、リングだって、らせんだって、シャイニングだって、13日の金曜日だって、シベリア超特急だって観てやる。(最後のやつは別の意味で)
しかし世の中には、ちょっとやそっとのホラー映画じゃ恐怖を感じないホラー不感症の人間がいる。通常の人間が、「ギャー!!!」と白目をむいて悲鳴を上げ、ポップコーンをぶちまけ、こぼしたコーラで下半身を濡らしつつ、のたうち回るようなシーン。それでも彼らのリアクションと言ったら、ストレッチ中の関取のように何人がかりでもってしてもそこからピクリとも動かないような、どっしりとした構えを見せる。「ふん」という鼻息が聞こえてきそうだ。
驚いてやれよ。と私は思う。監督、俳優を始めとする撮影チームが一丸となって夜も寝ずに作り上げた渾身のシーンを、「ふん」とは何事だ。「イマイチだねー」。おい、ポップコーンで油ぎった指をぺろぺろするのはよせ!「あーあ」。すべったコントのオチを見るかのようなその視線をやめろ。監督に代わって注意してやりたいと思う。いや、注意なんて生易しいものではだめだ。ひとつ、ぎゃふんと言わせてやらなければ。
怖くないなのら、怖くさせてやればいい。いや、何も暴力をふるうのではない。言ってみればホラー映画を7倍怖く楽しむ方法だ。まず、ホラー不感症の人間をひっ捕まえてきて問答無用で手足を縛る。そして口にはタオルを噛ませ、真っ暗な部屋に押し込み、椅子にがっちりと固定。目の前には80インチプロジェクターが設置されていて暗闇と沈黙の中、前触れもなく映し出されるのはホラー映画の金字塔、エクソシスト。
これは怖い。
身動き出来ず、声も出せず、目を逸らすことも出来ない。目を閉じ、一切を見ないことで恐怖を掻き消そうとしても、逆に見えないことが不安を呼び結果的に目を開いてしまう。そして目に映るのは、少女の首が180度回転するシーン。「んごご、んぐぐ!」。叫びに似た呻き声が部屋の中に小さく漏れる。いくらホラー不感症人間であっても、これは堪えるはずだと私は考える。
つまり、今回私が提案するのは、普通に観ても怖くないならシチュエーションで恐怖をアシストしてあげましょう。そんなソリューションなのです。なのです。ってプレゼンみたいになってしまいましたが、デイリーポータルZとか、エキサイトビットで実験してくれないでしょうか。個人で試してくれてもいいです。そして結果を教えてください。お願いします。
リンク
デイリーポータルZ
http://portal.nifty.com/
エキサイトビット
http://www.excite.co.jp/News/bit/
私も怖いの苦手です。シックスセンスとか、ああいう急に「ワッ」と現れるようなものにはビクッと反応してしまいます。だから「JAWS」のような音楽で「来るぞ来るぞ~」とわかるものは比較的安心できるんですよね。
怖い映画を見て平気な人は映画の裏側を分析する超現実派に多いようです。この首がグルリぃと回る仕組みは上手く出来ているな、などと考えるのだそうです。確かにゾンビの中の人は大変そうです。
>テロメアさん
中の人などいない!
かわうそのセリフが言えました。念願だったんです。
確かにホラーの裏には大量の汗がある。ってことを考えると
滑稽ですわ。でも、そんな醒めた視線で見て楽しいんでしょうか。
大したことないねって言いたいだけなんでしょうか。