ガードレールなんていらない


 
 直線からやや急な右カーブとなる道路を走っていたら、田んぼに突っ込んだ乗用車が、クレーンで引き上げられている現場に遭遇した。

 車種はエルグランド。
 詳しくないけど、かなり高いんですって? 新車なら300万以上はするんですって? そうなんでしょう? 中古でもそこそこするんでしょう?

 あちゃーです。あちゃちゃーです。
 おそらく、直線でスピードを出し過ぎたんでしょう。あるいは、携帯電話でもいじってて前を見ていなかったか。どっちにしろ、青々とした水田にダイビングしたエルグランドは、泥にまみれてなんとも情けない姿なのでした。

 聞けば、年に1回はこの場所に車が突っ込むとのこと。突っ込まない年は、伝統を守るためわざと車を突っ込ませるとのこと。後半は嘘とのこと。

 ふと疑問が浮かぶ。
 そんなにダイビングが頻発するなら、どうしてガードレールを設置しないのか。同乗者のEさんに聞いてみると、「毎年直すの大変だからでしょ?」と返ってきた。なるほど。

 そうは言っても、「またなのぉ?」と嘆く田んぼの持ち主のためにガードレールを設置してもよさそうである。うーん、と考える。

 OH!ひらめいた。
 設置しない画期的な理由がひらめいたのだった。それは、田んぼに突っ込んだほうが安全かもしれないということ。

 つまり、猛スピードでガードレールに衝突すれば死ぬかもしれないが、田んぼなら泥のクッションが衝撃を吸収し、死ななくて済むかもしれないのだ。車より、稲より、人間の命。

 これは大発見かもしれない。
 加速する軽い興奮を抑えつつ、何気ない口調でEさんに、「あれですかね、ガードレールよりも田んぼに突っ込んだほうが安全なんですかねえ?」と言うと、「うーん、どうだろうなあ。俺、ガードレールに突っ込んだことねえから分かんねえなあ」と返ってきた。

 いや、そういうことじゃなくて。
 こうして、闘牛の牛のように勢い込んだ私の大発見は、よく分からない返事によって華麗にスルーされ、青々とした水田に突っ込んだのだった。泥まみれなのだった。でもだいじょうぶ、生きてます。
 

ガードレールなんていらない」への6件のフィードバック

  1. おそらくまとはずれさんの予想は当たっています。
    田んぼに水が入っていたから助かったという人を身近に知っていますから。その人はバイクでカーブを曲がりそこねて突っ込んだんですが、泥田の上をスケートリンクみたいに滑っただけで、怪我もしなかったそうです。

    まあ、私のことなんですけど。

  2. >テロメアさん
     うわあ!け、経験者が!(笑)
     いやあ、笑った笑った。まさかそんなオチとは。
     いやしかし、こう身近(?)に経験者がいると、
     他人事じゃないですね。ダイブするときはガードレール
     のないカーブにしたいと思います。

  3. うおー!引越ししたばっかでなんとネットはAIR-EDGE!おせー!
    テレホタイム思い出しちゃったよ!

    Eさんウケるねえ~♪
    自分の前いた会社で同僚がガードレールにぶつけて落ち込んでいた時
    ある先輩が、「それぐれえでそんな落ち込むなよ、ガードレールから
    ぶつかってきたって言えばいいじゃねえか」出そうで出ないナイスフォローwwブログと関係ないかwごめーん!チャイチャイチャイニーズ!

  4. どぉも~
    私の弟二回程突っ込んでます(笑)。
    不思議なもんで、同じ突っ込むんでも、二回とも水田の時に突っ込んでまして、不思議と稲刈り目前とか、稲刈り後には突っ込まないもんです。
    農家の息子の本能でしょうか(爆)。

    ちなみに、車はぐしゃぐしゃでしたが、2回とも怪我は全くなし。

    「泥のクッションが衝撃を吸収」説を証明してます。

  5. >J.sky殿
     テレホタイム・・・共に活動したあの日々の記憶が蘇るようです。
     というかその先輩、かなり他人事な発言してるよなあ。じゃなきゃそんなテキトーでおもろいフォローでないって話だよ(笑)そっちは台風かあ。生きてる?

  6. >ほりまささん
     やっぱし!貴重な証言第二弾ありがとうございます。。
     でも、弟さんのその本能を、ダイビングしないための危険予知能力として転換できないものでしょうか(笑)ぜひ、弟さんにお伝えくださいませ。

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