PCショップの入り口に扇風機がディスプレイされていた。
よく見かける光景なのだが、どうも違和感がある。売り場に棒立ちして考えてみたが正体が見えてこないので、携帯電話で写真を撮っておいた。PCに取り込んで解析するのだ。
落ち着いて眺めると、写真からいくつかのことが分かってきた。
まず、「1、680円」の赤い文字が飛び込んでくる。しかし問題はここではなく、その上の「主な特徴」にあった。
「ロータリースイッチ 弱 <=> 強 切替」
メカに疎い人間であれば、「ほほう」などと漏らすかもしれないが、要するに「風量調節は2段階だけ」という、マイナスのセールスポイントなのである。
そして、「ロータリースイッチ」などど呼ばれるものの正体は、何のことはないダイヤルのことで、ガチャガチャと回す大昔のテレビのチャンネルと似ている。こうしてみると、もう、なんていうか、弁解の余地がないほどにコテコテの旧型扇風機であることが分かる。
鉄腕アトムが青空を飛び回るはずの、「21世紀」という「あの頃の近未来」に今、ボクたちは存在しているのに、風量調節2段階の扇風機という現実を突きつけられては、近未来はまだまだ遠い未来なのだと実感してしまう。
そこへ来て、「パーソナル扇風機」の商品名だ。
1、680円という激安価格であるが、「パーソナルコンピューター」と同じ意味合いの「パーソナル」を頭に付与することによって、他社扇風機の追随を許さぬ最新のイメージを喚起させ、スペックの貧弱さをカバーしようという魂胆が見え隠れする。おおかた、「パソ扇」とでも呼んで欲しいのだろうが、そうはいくか。
それにしても、「パーソナル」という言葉は便利だ。
いつもの商品も、違ったイメージで私たちの前に現れる。
例を挙げるなら、
パーソナル電球
パーソナル軍手
パーソナル馬鈴薯
パーソナルペヤング
パーソナル耕運機
パーソナル除草剤
パーソナル仏壇
パーソナル墓石
といったところか。あとは各自の課題としよう。
同じ手法により、売り上げ不振の商品や影の薄いものも、「パーソナル」の付与により、俄然、イキイキしてくる。
パーソナルメンマ
パーソナルサンバイザー
パーソナルサスペンダー
パーソナル鳥取
パーソナルPS3
またいい加減なことを。という声がちらほら聞こえてくる。しかし、企業がその存在に気付いてないだけで、「パーソナル」はコロンブスの卵的発想なのだ。
私は実際に、商品化第一弾として「パーソナル鼻毛カッター」の開発を進めているところだ。どうか、アイデアの盗用は勘弁願いたい。万が一の場合、法的手段を取ることも辞さない覚悟である。そのときは、腕利きのパーソナル弁護士があなたの相手になるだろう。
うまくオチたなー
どっかにパーソナルエロビデオないかな~
>J.Sky氏
そしたら自作してみては?
業界が震えるようなやつを一発。
たぶん、あなたにはそういう才能あります。