七三日記(0222)


 
 ひさしぶりにマクドナルドへ。カウンターに立ち、定番のチーズバーガーを注文しようとしてふと、違うバーガーを食べてみようかと思い立った。立ったはいいものの、迷う。■注文を待つ店員の、逆光みたいなスマイルが否も応もなく焦燥を煽り、手元にあるメニューの内容がまったく頭に入ってこない。■もうなんでもいいよ、あ、あれあれ、あれだ、あれにしよう! 脳裏に、とあるバーガーが像を結んだものの、今度は名前が出てこない。■手元のメニューの、サブリミナルのごとく飛び込んできては消えてゆく無機質な文字の羅列から、脳裏の像と合致しそうな組み合わせを拾いあげ、その名を告げる。「ヤキテリア!」■違う、違うんです! そんな弁解の隙もなく、機転を利かせた店員がすかさず訂正をする。「テリヤキ、でよろしかったですか?」■どうしてこうなってしまったのだろう。陽の当たる2階の窓際に陣取って、「ヤキテリア」という単語を分解すると「テリヤキ」「ヤキトリ」「ロッテリア」で構成されていることが分かった。■タレをつけながら焼くという共通項による「テリヤキ」と「ヤキトリ」の喚起、そして、ハンバーガーチェーンという共通項による、ライバル店「ロッテリア」の喚起。その3つが、なんとも絶妙な混ぜ加減で発せられたというわけで。■まあ、それにしてもハンバーガーてのは残酷な食べ物ですね。粉々にした牛をこねて焼いてパンで挟んで食う。そう考えると牛タンも、焼いたベロをベロにベロっと乗せて、あまつさえ柑橘の汁をふったりして食うのだからなんとも野蛮極まりない。■さんざん食えや食えやと滋養を与えられ、愛でられ育てられてきた牛たちにしてみれば「詐欺じゃーん」と、自分のお人(牛)好し加減に忸怩の涙を流すのではないでしょうか。■「オレオを半分ずつ配るね」「うん」「1枚、2枚、3枚、4枚、5枚、6枚、7枚、ところでいま何時?」「6時」「7枚、8枚、9枚、10枚、・・・・・・ってオレの1枚少ないじゃん!」■これがオレオ詐欺です。今では「振り込め詐欺」と呼ぶので、どうにもいまさら感が拭えませんが。■あと、ぜんぜん関係ないんですが、歯磨き粉に書かれている「トラネキサム酸」を目にするたびに「トラネキ・サムさん」という外人の姿を想像してしまいます。ガス欠でJAFを呼んだりする、なんか、パッとしない外人です。