砂漠deダンス


ダチョウ

すいませーん! このなかにキノコに詳しいお客様はいらっしゃませんかー!? あらん限りの声で叫んでも砂漠。広大なサンド・ベージュ。出し抜けに吹き付ける砂埃が眼球をアタック。あうち! 月の毛布をかぶりながらうとうとついばむ夢を見てからというもの、私はこうしてまだ見ぬキノコを探し続けている。美味であった。夢でついばんだキノコはたいそう美味であった。大変おいしゅうございました。目の前をとりどりのカラーがめくるめきながらあっちゃこっちゃと跳ね回れば体も自ずとサルサ&チャチャチャ。やみくもに独舞。乱舞。円舞。こんな自分、初めて! 気がつくと私は砂に首まで埋まってて。どうしたものか。ああ、こんなときキノコがあれば。いや、キノコなら目の前にある。いや、しかし、これは。それは夢とは似ても似つかぬ桃色のキノコであった。すいませーん! このなかにキノコに詳しいお客様はいらっしゃませんかー!? 出し抜けに吹き付ける砂埃が眼球をアタック。どうやら今宵の砂漠は私の知らない砂漠らしい。月だけがいつもように月で、いつものように照らしていた。あうち!