明るい未来は強い子が


 「犬のフンはお持ち帰り下さい」
 日本全国どこへ行っても目にする看板です。都市部などでは昔から存在していたのかもしれませんが、私の住む東北の片田舎にまで進出するようになったのは割と最近で、それまでといえば道端のそこかしこに犬のフンが存在していて、どういうわけか人糞が鎮座していることさえありました。私を含む当時の小学生たちは、月に一度はフンを踏んづけ、その度ごとに、コンクリートのエッジでこそぎ、雑草になすりつけ、アスファルトへと足を引きずり、水たまりですすぐなどして靴裏の異物を撤去し、万が一現場を目撃されようものなら「バリヤ」を張られ、次の誰かが踏むまでは「バイキン」としての日々を送らなければならなかったのです。このように、少し前までの小学生は、道端のテロと戦い、かつ、不名誉による疎外感を味わうなど、幼いながらも汚辱のキャリアを積んできたわけです。

 それがどうでしょう。全面アスファルト舗装、街灯完備、フンお持ち帰りの看板設置など、今や通学路は無菌状態です。果たしてこれは本当に良いことなのでしょうか。少なくとも犬のフンを踏まなくなったことに関しては、子供たちが逆境に立ち向かうための、その力を養う機会を失ってしまった。そのようには言えないでしょうか? フンを踏んできた私たちは強いはずです、いえ、強くなきゃ困るんです。あの、悲痛と失望の日々が無意味だったとはどうしても思いたくはないんです。踏まれて強くなるのが雑草ならば、踏んで強くなるのが子供なのではないでしょうか。私はそう思います。

 極論を承知で言わせていただけば、いじめ。集団とは、常に誰かを排除し続けなければならない不思議な生き物です。これまでは、フンを踏んだという大っぴらな理由で、その彼(彼女)を一時的に集団から排除してきたわけですが、逆にそれが集団としての息抜きとなり、現在のような陰湿ないじめへの発展を防いできたのではないか。そのように思うんです。

 ですから私は提案したい。「犬のフンは持ち帰らないで下さい」と。心の強い子供を育み、陰湿ないじめへの発展を阻止する意味でも、散歩には手ぶらで出掛けて頂きたい。子供たちの未来のためにもなるたけたくさんフンを踏ませ、悲しませ、落胆させ、強靱な精神力を養うべきです。もう一度言います、「犬のフンは持ち帰らないで下さい」。これが私の掲げる第一のマニフェストです。どうですかみなさん、みなさんのチカラで、地方から元気になって行こうではありませんか。明るい未来のために、強い子供たちを、この私と共に育てて行こうではないですか。

 それではまあ、時間も迫って来たようですので、えー、みなさん、本日は足元の悪いなか私の言葉に耳を傾けていただき、大変感謝しております。ぜひ今日の話をですね、ご家族に、ご家族が集まる晩ご飯のときにでも構いません、今日はこれこれこういう話を聞いたよ、とお話いただいて、意見を交わしていただいて、明日の投票日にはですね、明日の投票日には、ぜひ私に、この私に清き一票、清き一票を、どうか、どうかよろしくお願い致します。清き一票をどうかよろしくお願い致します!

明るい未来は強い子が” への2件のコメント

  1. でも、公園の芝生ではなく、公園を出たところのアスファルトにわざわざコロコロとおいてあるのは・・・・わざととしか思えん。

    ある意味、昔の我々は前もしくは上ばかり向いて歩いていたのですよ。
    ですからしょちゅう踏んでいたのです。
    今の子はやれゲームだDSだメールだ携帯だと下ばかり向いているからフンがあっても踏まないのだと。

    対立候補の私は訴えるのであります。

  2. >ほりまささん
    むむ、ライバル現る。
    この私の、(ほころびだらけの)理論に異を唱えるとは。
    今回の選挙戦、厳しい戦いとなる予感が・・・。
    いやー、しかし今回の説はちょっと強引っていうか、
    無茶すぎましたね(笑)

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