大自然保護罪


そっけない黒髪立体感のないメイクに厚めの黒ブチを掛けてはいるが外せばその実、戸田恵梨香似に違いないダイヤの原石臭ぷんぷんのファミマレジ子が缶コーヒーをふわり両手で包みながら「袋にお入れしますか?」と上目遣いで聞いてきたので「そのままでいいです」と言った。「そのままのキミでいいです」と言った。早口で言った。彼女を守りたい。尾瀬の自然よりも守りたい。NPOを設立してでも守りたい。彼女という大自然がいずれどこぞの馬の骨によって伐採されることを思うと胸張り裂けるが、果たして守ることが最良の選択肢なのだろうかと頭上の疑問符は訴える。開発阻止イコールけもの道を歩ませてしまうのではないかと。リゾート地への若芽を摘んでいるのではないかと。彼女にとっての本当の「幸せ」とはなんだろう。休日のバイパス、Tシャツをはためかせながらの缶コーヒーはただただ苦く喉を通り過ぎるだけ。空がやたらと青いだけ。