蝶よ花よ、ああ犬よ。


 スパゲッティーをすすっていると、犬が走ってきてテーブルにぴょんと前足を乗せ、皿と俺の顔を交互に覗いてくる。ああ落ち着かん。たとえ犬であれ食事をじっと見られては箸が進まない。仕方なくスパゲッティーを一本、テーブルに垂らす。シュルッと音を立てて一瞬の内に消失した。なんつう食意地の張った犬だろう。

 母が「なんか掃除機みたいね」と言った。俺は「ダイソンか!」と頭を叩いて突っ込んだ。「キャ、キャン!」と犬は鳴いて走って逃げていった。かわいいかわいいと甘やかすのもいいが、たまには厳しくしなきゃなるまい。それが愛というものだ。

 そして犬は「キャ、キャン!」と鳴いて走って逃げた先のトイレで小便をしたあと、ハァハァとベロを出しながら走って戻ってきて、テーブルにぴょんと前足を乗せ、皿と俺の顔を交互に覗き始めた。「ニワトリか!」俺は頭を叩いて突っ込んだ。 「キャ、キャン!」(以後繰り返し)

ダイソンWEBサイト
http://www.dyson.co.jp/