ポイントカードなんていらない


 いまさら声高に訴えるようなことじゃないけども、なにかにつけポイントポイントってうるさい。うるさくてかなわない。今日だってセルフのスタンドでガソリン注入してたらポケットティッシュ片手に「ポイントカードはお持ちですか?」なんてニヤニヤしながらにじり寄ってくるし、ファミマ行ったら絶対に「Tポイントカードはお持ちですか?」って聞かれるし、そのたび「いいえ」って答えなきゃなんないし、ライトオン行ったら行ったで「ポイントカードはお持ちですか?」って聞かれて「あの、いや」って口ごもったら「それではお作りしますね!」なんつってさっさかポンポン5ポイント押されちゃったりして。もう、やめて! こんなのあれじゃん、ポイントゾンビじゃん。押しのけても押しのけても、湧いて出てくる、ポイントゾンビじゃん!

 でもね、スタンドもファミマもライトオンも「ポイントいらない!」って言えるけど、アマゾンとか楽天とかのあいつらは問答無用だから質が悪い。勝手にポイント付与すんな! って野太い声で言いたい。重低音で言いたい。あ、ポイントごときでなにをそんなに鼻息荒くしてるのかって、みんな思ってるみたいだから言うけど、ポイントの何がダメかって、みみっちいこと。いつ満期になるや先の見えないカードで財布が立方体になってたり、ログインするたびにポイント数をチェックして何に使おうかなんて考えてる自分がやだ。やだよ。

 『人はポイントを付与された瞬間に、その価値が7ポイント低下する』

 これ、いま考えた名言なんですが、たとえば、哀川翔がアマゾンで買い物をしてもポイントは付与されるわけです。だって、それがアマゾンだから。アマゾンのやり口だから。きちんと考えてみてくれますか。あの、哀川翔が、Vシネの帝王である哀川翔が、お買い物ポイントを保持しているという状況を。さらに、夜な夜なポイント数をチェックしている光景を。1ポイント=1円の仕組みを理解している事を。ポイントを使おうか貯めようか逡巡している事実を。ねえそれって、みんなが知ってる哀川翔? 違うでしょ? シチュエーションが安いでしょ? そうであって欲しくないでしょ? 「俺、不良品」に書かれてることが嘘になるでしょ?

 このままじゃ日本はダメになる。こんなポイント大国ぶりじゃ徹底的にダメになるよ。ダメになるあるよ。一億総みみっちいになっちゃう。だからオレはポイントカード捨てる。7枚あるポイントカードの一切合切を。そのかわり、気になるあの娘の好感度ポイント獲得に専念する。重い荷物持ってあげたり、ハンカチ拾ってあげたり、顔色伺ってなにかとご機嫌取ったりする。50ポイント貯まったら触らせてくれるんじゃないかな、おっぱい。

 

ヘンタイは変態ではありません。


 あのー水を差すようで申し訳ないんですが、みんなヘンタイヘンタイって気軽に言うじゃないですか? 「やだーヘンタイ!」とか、そんな感じで。だけど、それって本当の変態じゃないんです。たぶん、たぶんなんですけど、本物の変態を目の前にしたら言葉なんか出てこないと思うんです。本当にひとつの言葉も出てこないと思うんです。『本物には言葉なんていらない』っていやいやそういうカッコイイ感じじゃなくて絶句っていうか、うわー、なにそれどういうこと? って感じで、ドン引き&理解不能に陥って二の句が継げなくなるのが本物の変態なんじゃないかと私は思うんです。

 逆に言えば、みなさんの言う変態はあれです。共感なんです。共感。たとえばスカートをめくられて「ヘンターイ」って言うじゃないですか。あれにはですね、「男」=「パンツを見て興奮したい生き物」に対する共感が含まれているんです。その共感を踏まえた上での「ヘンターイ」なんです。つまり共感しているということはですよ、「私もヘンタイでーす」とカミングアウトを、実はしてるんです。知らず知らずのうちに。そしてこれは、めくる側めくられる側のヘンタイポテンシャルが双方、等価であることも意味しているんです。だからうーんそうだなあ、めくる側はこの事実を逆手にとって「ヘンタイって言ったほうがヘンタイなんだぜ!」と言い返すことだって出来る。出来るんです。もひとつ言えば、この二人がドーン!って、曲がり角かなんかで出会い頭にぶつかって中身が入れ替わったとしても、「ヘンタイ」という観点からみたらまったくの同一人物。そういうことになるんです。え? なに? よく分かんないとかじゃなくて、そういうこと、そういうこ・と・な・の!

 まあそんなわけで、みなさんが普段使いの「ヘンタイ」は「変態」ではないんです。発音は同じでもカタカナ表記のカジュアルヘンタイなんです。残念ですが。ついでに言うと、酒が入ると全裸になるとか、足の爪の臭いを何度も嗅いでしまうとか、靴下履かせたままじゃないと興奮しないとか、ああいうのはおしなべてカジュアルヘンタイですから。市民権を得て久しいステレオタイプのヘンタイですから。じゃあ本当の意味での変態はどんなのかって言われたらこれ、答えられません。何故なら私自身もカジュアルヘンタイだからです。いや、もしかしたらカジュアルヘンタイでもありません。ド普通人間なんです。いや、これはまじめな話、本当にそうです。何から何まで普通なんです。じゃあこのブログで普通じゃないっぽいことを書いているのは何なんだ思うかもしれませんが、これは、ド普通人間が別の何処かへはみ出してみたくて、必死に手足を伸ばしバタバタ足掻いた涙ぐましい結果なんです。

 盗んだパンティーを細かく刻んで笹舟に乗せそっと小川に流し、それを追いかけながらするオナニーじゃないとイケない。

 ですから、ド普通人間が必死になって考え得る変態はせいぜいこの程度ですし、そもそもこれは変態じゃなく単なる荒唐無稽です。ああ、なんという無力。

 密閉されたケースにカメムシを詰め込んでその匂いを深呼吸。

 実際にそういう人がいるらしいと人づてに聞いたとき、その意味を咀嚼することができず黙りこくってしまったのですが、今思えばこのときに、本当の意味での変態をこの人物に感じていたのかもしれません。

 みなさんは、本当の変態に出会ったこと、ありますか? それはどんな人でしたか? ニュアンスでも片鱗でもいいから知りたいんです。というわけで、みなさんからの変態情報お待ちしております。いつまでも気長に待っています。そして私はそのあいだ、普通を追求します。変態をより鮮烈に感じたいからです。日々、普通を極め、最終的に「世界でただ一人のド普通人間」を目指します。よろしくお願いします。

ららら


ちゃちゃちゃ 息を止めたら
パンチ! 蹴り上げながら駆けて来てよね
シロツメクサ 踏みつぶしてもいいの
グリコスポロン 握りつぶして
比べものにならないくらい震えてみせてよ
ぬぐいながら待っているわ 生クリーム
ノック!ノック!ノック! はじまるわ
チックタックキック! グーで殴るの
ららららららら ららららら
終わりまでが始まりってことね

 

病み気味ギブミー愛してる


 
振り返ればそこはホームセンター
未来と未来をつなぐ場所

そこにいるのは誰だ!?
鏡の中の自分に叫ぶ

だけど
九種類の必須アミノ酸が
暗唱できないんだ

ほら
ゆらゆら夢の中で一杯やろう
ドメスティック豆腐をつついてさ

七三日記(0413)


■夜、食器を洗いながら、ものすごくか細くてそして長い、聞き耳を立てなければ聞こえないくらいの屁をしたら、廊下で寝ていた猫がビクッと起き上がってガラス越し、闇夜に向かってニャーと鳴いた。どうやらオレのした屁が、雌猫の鳴き声に聞こえたらしい。■屁で声帯模写、いや違う、これはなんて呼べばいいのか、屁帯模写? 肛門模写? というかそもそも声帯模写とは、声帯「で」模写するのか、声帯「を」模写するのか。そのスタンスが曖昧なまま、安易に「肛門模写」などと呼んでしまっては赤っ恥をかくことになる。しかしインターネットをフル活用しても、その答えは導き出なかった。■猫が風呂場の小窓から先を急ぐようにひゅいっと、弧を描いて出掛けた。雌猫なんていないのに。■会社の先輩Yさんが女の子を紹介してくれるという。ニャー! なんでも前職の知人女性Mさんからの紹介だそうで、図式としては、オレ→Yさん→Mさん→女の子である。■割と近くに住んでいる。愛想がよい。太ってはいないが中肉中背である。はっきり分からないが26歳くらいである。などの情報を得、そこそこにテンションが上がる。■こちらサイドからも、身長170センチ弱・体型スリム、くだらない妄想を内に秘めた35歳。などの情報を提供し、一旦、向こうサイドの反応を待った。付き合うかどうかなんてのは別問題として、一回みんなで飲みいこうか。なんて談笑しながら。■翌日、Yさんは言った。「昨日の子、22歳なんだって。で、35歳はちょっと、だってよ」■おーいカァさん!ちゃぶ台持ってきてー、ひっくり返すから!■誰も悪くない。そう、誰も悪くない。私のために奔走してくれたYさんMさん相手の男が35歳だと聞かされた22歳の女の子。そう、誰も悪くない。一個人のために見せてくれたYさんMさんの素晴らしい連携プレイには頭が下がるばかりだし、自分が女だったとしても干支が一周以上しちゃってる男を押しつけられるなんてまっぴらごめんだし。だから、そう、誰も悪くない。■しかしそうは言ってもやね、切れ味の悪い包丁でギコギコ切られたみたいにオレは傷ついたし、辛くて酸っぱい現実を味わわされてすごく悲しい気分になった。善意×善意イコール無邪気な悪意。■オレはその夜、机の上の小窓に向かって先を急ぐようにぴゅっと、短い放物線を描いた。