カップラーメンはどこへゆく


 久々にカップラーメンを食べた。フタを半分まで剥がし袋を取り出す。4つ出た。かやく、粉末スープ、液体スープ、調味オイル。多すぎるよ、と思う。最近のカップラーメンはたいていこんな感じだ。知ってはいてもそう思う。お湯を注ぎ、待つ。4分だ。ということは、これはノンフライ麺か。

 待っている間に、メールのチェックをして、ヤフーのトピックスにざっと目を通し、RSSリーダーで登録ブログ更新の有無を確認をする。時間を無駄に出来ないビジネスマンさながらの手際だが、お湯を注ぐ直前にも全く同じ行為をしているのだった。この待ち時間の、上手な過ごし方が分からない。4分経過。フタを剥がして驚いた。

「もどる」ってどこに?

 デカい注意書きが。麺をほぐせ。ほぐしてからスープとオイルを入れろと書いてある。入れてからほぐしても変わらないような気がするも、ここは素直に従う。そして、液体スープと調味オイルの袋を見てまたもや驚く。

「もみ」かつ「ほぐせ」ってか

 工事現場? と勘違いするほどに注意の喚起力がキてる。注意枠の左右にギザギザの意匠が凝らしてあり、袋自体の上下にもギザギザが見て取れる。完璧なギザギザマジック。肝心の注意書きを見ると、「フタの上で温めた後よくもみほぐして」と書かれている。ほぐさせ過ぎ。我々にどれだけほぐさせる? そんで、ほぐし疲れて凝った肩は誰がほぐしてくれるの? そりゃウマいことのひとつも言いたくなるってものです。最初に断ってくれないでしょうか。「この製品は3回のほぐし行為を必要とします」とか。

 でもまあ、ほぐしました。ほぐしてから液体スープも調味オイルも入れました。でも、アレはコレの先、コレはアレの後、温めてほぐして入れてかき混ぜて。って、もの凄くめんどくさい。そんで味はそこそこって。なんなのこれ。

 そう考えるとカップラーメンの元祖、カップヌードルは偉い。お湯を注ぐだけ。そしてウマイ。とってもシンプル。今、カップラーメン界隈は間違った方向へ進んでる気がするのです。そしてこれからも、手順の煩雑さがエスカレートするのではないかと危惧しています。

 お湯を注いでから4分経過後、麺をほぐし液体スープと調味オイルを入れる作業を25秒以内に行い、その後、味の低下を防ぐため3分20秒以内に食べきってください。また、残りスープは洗濯には使用しないでください。

 最後のは言い過ぎましたけど、強ち「ない!」とは言い切れないめんどくささが、すでに今、あると思います。本格志向なんていらないんです。シンプルでウマい。そういうカップラーメンを作って欲しいんです。作ればいいんです。

こんなgoogleはイヤだ。


 みなさんも経験があると思いますが、googleで検索をすると単語の間違いを修正してくれることがあります。たとえば。

morisinichi

 そうなんです。正しくは「森進一」なんです。これはとても便利です。時折、ピントのずれた修正をしてきたりしてイラっとくることもありますが、将来的にはさらにインテリジェントな方向へ変化してゆくに違いありません。でも、やり過ぎは困ります。というわけで、

こんなgoogleはイヤだ。

■なんか連想ゲームだumi

これは、松尾スズキさん演出の舞台のセリフからパクリました。



■痛くもない腹を探ってくる
mikkai



■噂好きだ
uwasa



■鋭い
ecchi



■鋭い、そしてウザい
ecchi2



■家庭の医学の受け売り的な診断をしてくる
tounyou



■的を射た心配をしてくるがギャル口調だ
gal

 便利になるということは、つまり、生きづらくなるということです。たぶん。

もち子インストアライブ


 こんばんは、もち子です。えー、まるやレコードさんのご厚意で、すでに1回目? 2回目? になりますけど、こうやってみなさんと間近で触れあうことのできるインストアライブを、このような素晴らしい機会を、ですね、私のために設けていただいてありがとうございます。見に来ていただいたみなさまにも感謝を申し上げます。ええっと、じゃあさっそく行きますか? 準備整ってます? はい、はい、では、聞いて下さい。もち子で「ほんでもってマイラブ」

ほんでもってマイラブ
作詞:まとはず礼 作曲:未定

 ぬるめのお湯に素足を浸して
 見上げているのマインスイーパー
 お願い目を閉じないでいて
 ほら今 生イカでビンタをするから

 ブラウン管は教えてくれるの
 激しくない選挙戦はない
 壮絶炭酸 愛が痺れる
 ほらもう No Reazonでいいじゃない

(ラップ)
 讃岐うどんで小グマを調教
 恵方巻きにて競馬を実況
 県には県道 都には都道で
 府には府道だし 道には道道
 連れて逃げてよぼやぼやしないで
 いますぐすぐいまメメントモリクミ

 私のキモチもあなたのキモチも
 言葉に出さなきゃ伝わらないから
 勇気を出してよ 暴れる山車だYO!
 言いたいこととか あるなら早よsay!
 未来永劫 未来へGO!
(ラップおわり)

(セリフ)
 油あげが好きなの

 おしくらまんじゅうじゅくじゅく傷口
 アスファルトから生えて来たって
 それでもアナタ 根性ナシね
 ほらその パーマネントをほどいてよ

 手肌をいたわる なんとかグリーンと
 マフラーの奥 隠したきな粉
 そんなアナタが ほとんど好きよ
 ほらそう 今のスマイルを返品

(セリフ)
 とっちめてあげる
 

 えーと、ありがとう、みんなー、どうだったー? そうでしょう? 曲がないでしょう? そうなのそうなの、だから朗読なの。ビックリした? でも仕方ないの、曲がないんだもの。でもね、曲があっても私、音痴なの、ダメなの、歌ったら迷惑かかっちゃうの。だからね、どうしてこんなイベントしてるのか分からないの。ワタシって何? 噛ませ犬? 読ませ犬? なんなのよ、こんな歌詞、山羊にでもくれてやるわよ! ンメェェェエ! ・・・んまあ、吐いたわ! もう好き勝手にすればいいじゃない、ワタシ帰るわ! まったく馬鹿にしないで頂戴!

***

ああ、もうごめんなさい、一体なんなんだと思われたでしょうが、そう言われても、私としても困るんです。意味を見い出そうとするのはよしてください。まだまだ体の疲れが抜けていないみたいなんです。

宇宙飛行士の悩み


 
 アポロ13号の生還ストーリーをテレビで見た。
 酸素、電力、水を生成する酸素タンクの爆発により、乗員救出を優先すべく月面着陸を断念。乗員3人は独立した動力をもつ月面着陸船に乗り換えた。しかし、地球到着までに必要な酸素は積んでいない。やむなく生命維持の可能な最低限レベルまで動力を落とし、地上管制官の指令に従い、奇跡の生還を果たした。ざっくりと説明すればこんな感じである。

 逃げ場のない宇宙空間のトラブルにあって、冷静かつ的確な判断を下す宇宙飛行士の、その精神力は感服に値する。もし私だったら、宇宙空間に放り出されただけで発狂してしまうのではないか。丸一日と置かず「インターネットしたいよー」「動ナビの更新をチェックしたいよー」などと駄々をこねるのではないか。などと考えて、ふと疑問に思う。宇宙飛行士の性欲である。いや、笑いごとではない。実際、「宇宙飛行士 性欲」というキーワードを検索にかけると数万件ヒットする。そして実際の宇宙現場では、流血騒動を含む多種多様なトラブルが発生している事実を知ることが出来る。訓練された宇宙飛行士であっても性欲をコントロールするのは非常に困難なのだ。それは、シチュエーションは違えども、かの南極観測隊が「南極二号」と呼ばれるダッチワイフを装備に加えたという公知の事実からも推測できる。

***

 以下は、アポロ13号と同様のトラブルに遭遇した、スポロン13号船内の会話を書き起こしたものである。

・ポール(船長)
・フレッド(着陸船パイロット)
・ティム(司令船パイロット)

フレッド「船長、我々は、助かるのでしょうかう?」
ポール 「管制塔の指示を信じるしかないだろう」
フレッド「それは、そうですが」
ポール 「酸素が足りないんだ。無駄口を叩くな」
フレッド「うう、ジェニファ」
ポール 「ガールフレンドか」
フレッド「もう一度、抱きしめたいです」
ポール 「地球に帰ったら抱きしめるがいいさ、何度でもな」
フレッド「今じゃダメですか? 今すぐ抱きしめちゃダメですか??」
ポール 「気持ちは分かる。だけどいいか? ここは宇宙だ、落ち着け」

フレッド「実はいるんです、ここに、ホラ」
ポール 「フレッド、お前それ、なんだ!?」
フレッド「ジェニファです」
ティム 「OH! ダッチワイフじゃん」
ポール 「どこに隠してたオマエ!」
フレッド「愛してるんです」
ポール 「そういうことじゃなくて」
ティム 「すでに膨らませてあるしー」
フレッド「抱いて、いいですか?」
ポール 「情事のあいだ、どうしてりゃいいわけ? オレたち」
フレッド「目、閉じてて下さい」
ポール 「あ、そうかー、ってダメだ! 興奮すると酸素がなくなる」
フレッド「どうせ助からないんでしょう?」
ポール 「そんなことな・・・うっ」
ティム 「船長! どうしたんですか?」
ポール 「案の定、酸素が、足りなくなって、きてる・・・らしい」
ティム 「しっかりしてください! 船長!!!」

フレッド「あああ、もう、ちくしょう見てらんねえ!!!」
ティム 「どうしたんだフレッド?」
フレッド「礼を言うなら彼女に言うんだぞ」
ティム 「ああ! ジェニファの乳首にハサミが!」
ポール 「フレッド、・・・・・・お、オマエ」
フレッド「早く吸うんだ!」
ティム 「そうか! コイツには新鮮な酸素が詰まってるんだ」
フレッド「コイツじゃねえ、ジェニファと呼べ!」
ティム 「ご、ごめんなさいジェニファ」
ポール 「す、すまんな、フレッド」
フレッド「切り取った乳首部分から吸え。いいか? 変な気、起こすなよ」
ポール 「分かってる」
ティム 「お、おお、船長の顔色が良くなっていく! あ、そして・・・・・・」

フレッド「チンコ立ててんじゃねえよ、テメエ!!!」
ポール 「す、すまん、つい」
ティム 「(爆笑)」
フレッド「あーもーやってらんねえ」
ポール 「まあまあフレッド、興奮するんじゃない、パフパフ!」
ティム 「カメセンニン!(お腹を抱えて爆笑)」
フレッド「ポール! テメエが一番興奮してんじゃねえか!」
ティム 「(笑いすぎて呼吸できてない)」
フレッド「野郎、興に乗りやがって、ジェニファから離れろ!」
ポール 「もうちょっとだけいいじゃんか」
フレッド「ティム、オマエも笑ってないでなんとかしろ!」
ティム 「ティムじゃないデス、”ティム・ヨンジャ”デス」
フレッド「ぜんぜん関係ねえこと言うんじゃねえ!」
ティム 「(呼吸困難になりながら引き続き爆笑)」
フレッド「あーもーオレたち絶対地球ムリじゃん(絶望に白目をむいて)」
ポール 「パフパフ(気持ちの良さに白目をむいて)」
ティム 「(笑いすぎの酸素不足で白目をむいて)」

管制塔 「スポロン13号、応答願います、スポロン13号、応答願います」

ポール・フレッド・ティム 「(白目)」

***

 はー、なんていうか、極端に疲れてると思考回路が著しく低年齢化して困ります。

 

夜半のドライヴ


 
 デートに誘われた。
 きれいな夜景を見渡せる丘があるらしい。だけど困ったことにボクの車は車検中だった。カビ臭い温風の吹き出す代車では雰囲気もなにもない。来週にしようよと伝えると、「じゃ、ワタシの車で行こ、土曜8時、迎え行くから」と伝えられ電話を切られた。

 彼女の車はいかにも、な感じの女の子っぽい軽自動車だった。
 白い息で暖め続けた手を助手席のドアノブに掛けると、ヴーンと降りてゆく窓の奥で彼女が言った。「後ろ」「え?」どういうこと? 「乗って、後ろ」「後ろ?」「風邪引いちゃうから、ホラ」「え、えああ」。

 飲み込めないまま後部座席へ乗り込むと、彼女は車を降り、後ろの右ドアを開けて何かをカチリとさせ、回り込んで左ドアも同じくカチリとした。チャイルドロックだった。なにそれ? 問いただすべく、運転席に乗り込んだ彼女へと身を乗り出すと、「ちゃんと座ってなさいね」と押し返されてしまった。

 「ていうかこれ」。ドアノブをガチャガチャすると彼女は「ダメよ」と頬をふくらませながら、「ハイ、これ」と、手のひらサイズの紙パックをボクの右手に握らせた。水色の懐かしいパッケージ。これ、なんていう名前だっけ。ボクは暗がりの中で目を凝らした。スポロンだった。すでにストローも差してある。「ちょっ、ちょっ」一連の流れに異議を唱えようとするボクに「ハイこれも」と、ピンクと茶色の円錐をちいさなイチゴで取り囲んだ小箱を左手に握らせた。アポロだ。これはすぐに分かった。

 ボクは両手の自由を奪われた。
 「ホラ、靴も」。靴をもぎ取られ、足の裏と足の裏を合わせた胡座のような感じで座らされた。右手にはスポロン左手にはアポロ。「じゃ、出発ね」。斜め前からの彼女の笑顔。何も言ってはいけないような気がしてうんうんとだけボクは頷く。彼女は時折、バックミラーからこちらの様子を心配そうに覗いてくる。カーラジオからは広瀬香美。車は夜の県道を音もなく滑るように進み続けている。曇った窓におでこをつけてみると、外にはいつの間にか雪がふわふわ舞っている。にわかに気分が昂ぶる。あはー!! ピンクと茶色の円錐がいくつか跳ねて落ち、細いストローから白い液体が吹き出した。「お願いだからちゃんと座ってて!」

 右手にはスポロン左手にはアポロ。ボクたちはこれから夜景を見にゆく。
 

[リンク]
 アポロ
 http://www.meiji.co.jp/catalog/sweets/kids/aporo/
 スポロン
 http://www.glico-dairy.co.jp/product/product_sub.php?pcd=101220b