隆光ダイアリー 第四関節


 
青いなああ。すごく青いなああああ。
弘樹とアリジゴクごっこしてる場合じゃない青さだよ。
この青さヤバい、つうかマジあええ(青い)。
ていうかさ、アリ役いっつもボクで引きずり込む役はいっつも弘樹。
ホントずりいし。

モテない遊びなんてもうやんない。
これからボクは毎日、人気のない昼休みの屋上でこうやってipodガンガン聞きながらコカ・コーラを飲み干すんだ。うわー、ヤっバい、すっげーテンション上がってきたかも。

 ♪あーまぁーいぃー、においぃにいー、
 さそわれたわたしはカーブトムーシぃー

ああ、気持ちいいなあ。
こうやってのけぞっても、のけぞってのけぞっても青、青ばっか、わわわ、のけぞり過ぎて倒れちゃうー。って、あ!?

「なにしてるの?」

ズサッ。
仰向けに倒れたボクを見下ろしているのは……。

「遊佐さん!」

ていうか美津子ちゃん!
わわわわわわわわわわ、こっちにくる。
おっぱいをゆさゆさ揺らしながらこっちに!
遊佐だけにね。なーんてウマいこと考えてる場合じゃないんだ!
ボクはこのあといったいどうしたらいいんだ。

「あ、あ、あ」
「好きなの?」
「えっ?」
「カブトムシ。歌ってたでしょ、さっき」
「あああ、いや、あの、ちがくて、ダビング妹にしてもらっ…」
「私もaiko、好きよ」
「そ、そうなの?」

「……ねえ、隆光クンてさ」
「なに?」
「カッコいいよね」
「え!?」
「中間楔状骨のあたりが」
「!!!」
「うふふ」
「骨、すごく詳しいね」
「だって、……気になるんだもの」
「あの、え? それってどういう……」

「おーい、たかみつー!!」
「あ、リツコ!」
「たかみつー!!!」
「だれ?」
「いや、あの、となりの家の」
「もしかして彼女さん?」
「いや、ちがくてそんなんじゃなくて!」
「ふうーん」
「ホントにちがくて!」
「じゃ、私行くね」
「遊佐さん!」
「またね隆光クン」
「あ、うん」

「やっと見つけたっつうの、たかみつこのー」
「なんなんだよリツコ」
「今の遊佐さんでしょ? どうしたの?」
「どうだっていいじゃん」
「あー分かったー、遊佐さんのこと好きなんでしょ?」
「は? バカじゃねえの? 好きなわけねえじゃん!」
「ふうーん」
「ていうか何だよ?」
「あ、そうそう、たかみつの自転車のサドル引き裂かれてたよ」
「ええっ!? なんで?」
「知らないわよ」
「うそだー」
「雨が降ったらグズグズね」
「股間が濡れ鼠になっちゃうよ」
「あ、そうだ、あとね『たがみつはいねがー』って探してたよ」
「誰が?」
「弘樹が」
「で、なんて?」
「ウラギリものーって」
「やったの、弘樹かー!」

第四関節

文:matohazure
絵:honyami1919

バックナンバー
 第一関節 http://d.hatena.ne.jp/honyami1919/20080605
 第二関節 http://crash-log.com/?eid=198
 第三関節 http://d.hatena.ne.jp/honyami1919/20080618

とち狂いはどっちだ


 

合流地点

側道からバイパス道路への合流地点でウインカーを左にカチカチしているトラックがいたので「なにをとち狂ってやがる」とひとり運転席で毒づいておったらばなんとまあご覧のとおり標識もとち狂っていたわけですがいやいや待てよ待ちなさいよと国道を飛ばしながら腕組みして考えてみますってえとむしろ右ウインカーをカチカチしたワタクシほうがとち狂っているのじゃないかと青ざめ、いや道交法に絡めてウマいこと言い直せば赤ざめたわけですが要するに合流地点ってのは「超・鈍角な左折」なんでして、垂直なカタチのT字路がありますでしょ?それをどんどんどんどん寝かせていきますとホラ、写真のようになるわけでしてそうですそうなんです合流のウインカーは左で正解なのであります……たぶんきっとおそらくですけど(調べる気ゼロ)

 

七三日記(0616)


 
■久しぶりにボールペンで字を書いた。■普段はプリンタ出力している荷物の送り状であるが、よんどころない事情により手書きすることになった。■新潟県新潟市の、社名に「新潟」を含む会社が送り先である。■よりによってバランスの取りづらさ、書き順の分からなさでは一芸に秀でている「潟」を書くことになろうとは。■「山田一郎」などといった画数の少ない漢字でのリハビリ書き取りを要する人間に、いや、「山田一郎」の「郎」の「耳たぶ」的なパーツの曲線でさえおぼつかない私に「潟」を書けと言うのは、もはや頓知の領域ではないのか。■『さあ、「潟」を書きますから屏風から「潟」を出してください!』■それはともかく「潟」である。■切れっ端で何度も練習したがうまく書けない。やはりネックは「臼」の部分である。■「ていうかこの部分、「白」でも大丈夫ですよね?」と総務部のおねえさんに聞いてみたが「ダメよ」と言われてしまった。いったいなんの必要があって切れ込みが入っているのか説明してもらいたい、「臼」よ。■ついでに言うが「飛」も嫌いだ。ポジティブ漢字の代名詞を気取っているようだが「潟」に負けず劣らずバランスの取りづらい漢字である。■「潟」はまだ「さんずい」という位置基準が存在するが、「飛」にはそれがない。おかげで書き始めが非常に心許ない。ていうかなんなの? あの、右側の「ちょんちょん」の部分。もしかして「飛んでますよ」みたいな雰囲気出してるつもり? まさか俺たちのこと馬鹿にしてる?■あ、あともういっこだけいいですか? あ、ダメですか? いいよね? 減るもんじゃなし。■「州」。これもダメ。象形文字からまるっきり進化してないじゃんアンタ。って言いたくなるような風貌してるくせにバランスの取りづらさは天下一品。■短い、長い、短い、長い、短い、なが縲怩「。って、俺たちそこまでアホじゃないですから。まったくほんとに失礼しちゃうわ。