青いなああ。すごく青いなああああ。
弘樹とアリジゴクごっこしてる場合じゃない青さだよ。
この青さヤバい、つうかマジあええ(青い)。
ていうかさ、アリ役いっつもボクで引きずり込む役はいっつも弘樹。
ホントずりいし。
モテない遊びなんてもうやんない。
これからボクは毎日、人気のない昼休みの屋上でこうやってipodガンガン聞きながらコカ・コーラを飲み干すんだ。うわー、ヤっバい、すっげーテンション上がってきたかも。
♪あーまぁーいぃー、においぃにいー、
さそわれたわたしはカーブトムーシぃー
ああ、気持ちいいなあ。
こうやってのけぞっても、のけぞってのけぞっても青、青ばっか、わわわ、のけぞり過ぎて倒れちゃうー。って、あ!?
「なにしてるの?」
ズサッ。
仰向けに倒れたボクを見下ろしているのは……。
「遊佐さん!」
ていうか美津子ちゃん!
わわわわわわわわわわ、こっちにくる。
おっぱいをゆさゆさ揺らしながらこっちに!
遊佐だけにね。なーんてウマいこと考えてる場合じゃないんだ!
ボクはこのあといったいどうしたらいいんだ。
「あ、あ、あ」
「好きなの?」
「えっ?」
「カブトムシ。歌ってたでしょ、さっき」
「あああ、いや、あの、ちがくて、ダビング妹にしてもらっ…」
「私もaiko、好きよ」
「そ、そうなの?」
「……ねえ、隆光クンてさ」
「なに?」
「カッコいいよね」
「え!?」
「中間楔状骨のあたりが」
「!!!」
「うふふ」
「骨、すごく詳しいね」
「だって、……気になるんだもの」
「あの、え? それってどういう……」
「おーい、たかみつー!!」
「あ、リツコ!」
「たかみつー!!!」
「だれ?」
「いや、あの、となりの家の」
「もしかして彼女さん?」
「いや、ちがくてそんなんじゃなくて!」
「ふうーん」
「ホントにちがくて!」
「じゃ、私行くね」
「遊佐さん!」
「またね隆光クン」
「あ、うん」
「やっと見つけたっつうの、たかみつこのー」
「なんなんだよリツコ」
「今の遊佐さんでしょ? どうしたの?」
「どうだっていいじゃん」
「あー分かったー、遊佐さんのこと好きなんでしょ?」
「は? バカじゃねえの? 好きなわけねえじゃん!」
「ふうーん」
「ていうか何だよ?」
「あ、そうそう、たかみつの自転車のサドル引き裂かれてたよ」
「ええっ!? なんで?」
「知らないわよ」
「うそだー」
「雨が降ったらグズグズね」
「股間が濡れ鼠になっちゃうよ」
「あ、そうだ、あとね『たがみつはいねがー』って探してたよ」
「誰が?」
「弘樹が」
「で、なんて?」
「ウラギリものーって」
「やったの、弘樹かー!」
文:matohazure
絵:honyami1919
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