隆光ダイアリー 第二関節


 
骨がボーン!
あ、しゃれこうべ隆光です。

ちょっと聞いてくれますか。
あの、こないだ、廊下に立たされたじゃないですか。
弘樹とふざけてて。

実はあのあと「隆光は残れ」って担任に止められて、
みっちり説教されたんですけどなんてゆわれたと思います?

「そんなんじゃ立派な大人になれないぞ」
だって。説教のスタイルが古すぎてグッと来ないっていうか、
ぜんぜん焦んないっていうか。

「そんなんじゃ立派にオッパイ揉めないぞ」
だったらすごくすごく焦るけど(笑)
大人は何にも分かっちゃない。

そんで、「帰ってヨシ!」って言われてカバン取りに戻ったんだけど、
誰もいない教室はすごく怖かったです。マジでホントに怖かったです。
野球部も帰っちゃって校庭から声も聞こえないし。
あ、アレ? ……てことは。

こんなことしちゃいけないんだいけないんだいけないんだ。
って分かってたんだけど気付いたら美津子ちゃんの笛が左手に……。

『もしかしたら唾液のDNA鑑定で逮捕されるかもしれない』
っていう不安と、

『チャンスは今しかない!』
っていう悪魔のささやきのあいだに挟まってなんかもう、

うわああああああ!
ボクは、ボクは一体どうしたらいいんだー。

って頭抱えてたら足音が遠くから聞こえてきて、
速攻で飛び上がって逃げたんだけど、もう、足ガクガク。

あんましガクガクしすぎてアバラがコロン!てはずれちゃうし。
やっぱし悪いことするとバチがあたるんだなって痛感。
ごめん、ごめんね美津子ちゃん。たぶん、もうしないからね。

第二関節

文:matohazure
絵:honyami1919

バックナンバー
 第一関節 http://d.hatena.ne.jp/honyami1919/20080605

 

夢遊病カメラ 1/100


 

採尿カウンター

ケータイのメモリーにあったので、とりあえず載せてみる。
画質は粗いし構図もいい加減だしなんでこれを撮ったのか。
巡らせても巡らせても何ひとつ思い出てこない。

「何に使うんだよこの写真」
「ほほお、全部で20尿収容可能なのか」
「なんか、マラソンの給水ポイントみたいじゃね?」
「ていうか、なんでこんなの撮るの? キモイ!」
「マジ、キモイんですけど」
「No more 尿!」
「尿 more war!」
「尿意がmore!」

とまあ、いろいろ批判もあるでしょうけど……。

 

採尿カウンターセピア

それでも、ボクにとっては大切な思い出なんです。

 

コラボックルニュース0605


「隆光ダイヤリー」というシリーズを開始しました。

私が文を書き、honyamiさんが絵を描いてます。
いわゆるコラボです。正確にはコラボックルです。
何をもって正確なのかは分かりませんが、つまりそういうことです。

交代交代で場所を変えて更新しようと思ってます。
記念すべき第一関節は、honyamiさんの所で公開しています。

というわけで、いますぐゴー!!!

http://d.hatena.ne.jp/honyami1919/20080605

さよならマッチ


 

マッチ01

「あ、あ、あ、オホン、ま、毎度御来店有難う御座います」

そうか、ちょっとカタいか。だよな漢字びっしりだしな。ベンチに腰掛けながら言うセリフじゃないしな。だけどな、こういうスタイルもアリじゃないか? だってよ、シャレてると思わない? 大地の青とベンチの赤のコントラストとか。後ろの木だって不自然な枝分かれしてるけどよ、こう、だんだん黒ずんでく様がいい雰囲気出てんだろ? なんかこう、寂しい気分になってくるし。……それとな、気づいたことねえか? いや、そんなにキョロキョロしなくたって分かんだろ。どこ見てんだほらほら。オイ! 目ン玉ついてんのか? そっ、そっそっそっ! そうなんだよ、ちゃんとコーディネートしてんだよ、合わせて来てんだよネクタイをよ。やっぱしコーディーネートはこうでねえとな。うわあ、ってなんだよ。寒いってどういうことだよ。そういう、そういうお前はなんだよ、全身まるごとイトーヨーカドーファッションだろ? ……そうか、ズバリだったのか。すまん。ホラ、仲直りの握手。でもな、なんていうかあれだ。こうやっていつまでもオマエと話していられる訳じゃ、ねえんだよな。なんでって、それは俺が決めることじゃねえ。いや、意味分かんないって言われてもな。分かった分かった分かったから。そうギャンギャンわめくなって。ひっくり返してみろよ、そしたら意味が分かるんじゃねえか?

マッチ02

まあそういうことだ。
あとしばらくしたら、あばよ、だな。

かつて私は犬だった。


 かつて私は犬だった。野良を駈けては蝶を追い、モグラをほじって、排泄物を嗅ぎ回り、退屈しのぎに畑の老人を吠え立てた。ひもじいときはネズミやスズメを追って糊口をしのぎ、胃腸のために草を食み、沼の水で乾きをうるおすと、風に吹かれながらいつまでも眠った。

 かつて私は鳥だった。寝ぼけまなこの住宅街をかすめ飛び、山と積まれたビニールを次から次へとつついて回った。荒々しい息づかいをした2つのシルエットが、ベランダに佇む私を見て驚いている。小学生の投げる小石をかわしつつ、公園をふっと飛び立てば風はいつも向こうからやって来た。私はいつも、風に吹かれてばかりいた。

 かつて私は猫だった。塀を伝い、側溝を飛び越え、草の匂いを嗅ぎながら空地を抜け、知らない誰かに撫でられながら、どこまでもどこまでも右へ左へ知らないどこかへ歩き続けた。ペティグリーチャムを補給するための帰路もやっぱり、知らないどこかだった。そして私は、扇風機の風に吹かれながら膝の上でいつまでも眠った。

 かつて私はリモコンだった。目には見えない光で、毎日毎日数えきれないくらい番組の変更を指示した。ボタンの数字が読み取れないほどに年齢を重ねてもなお、ソファや座布団や新聞の下で「(私は)ここにいるよ」と叫び続けた。そして私はテーブルの上で、くしゃみ・ため息・寝息に吹かれてばかりいた。

 かつて私は人間だった。会社の底辺に位置し、次々と押し付けられる些事細事を、さほど嫌がらずに片付けるものの、何度もやり直しを命じられた。胃を痛めるほどの心理的負荷を解放するため、夜な夜な「おっぱい」などの文字列をまき散らしてはディスプレイ越しにニヤニヤし、ひんしゅくを買った。それでもなお愚行を止められず、読み返せば羞恥に顔を赤らめ、そして後悔に青ざめ、ああ、いっそのこと、私は貝になりたい。屋上の風に吹かれながら、そう思った。

 そして私は誰の言葉も聞かず、誰の視線も気にすることなく、固い殻に守られながら傷口を癒し、そして自分自身と向き合い続けた。どれくらいの時間が必要なのかは分からないけど、心も体も生まれ変わったなら、長く長く伸びた髪の毛で股ぐらを隠しつつ、人間として、皆さまの前に現れたい。たとえ、たとえ皆様の、冷たい視線が吹いたとしても。

生まれ変わった私を見て!

※こんなイメージです。