クラッシュログからの大切なお知らせとお願い


平素はクラッシュログ(naked)をご覧いただき誠にありがとうございます。去る、平成20年5月22日に記事の誤アップが発生いたしました。

とある人物によって書かれた「お小噺」という秀逸な記事が、計画的な手違いにより弊ブログへとアップされました。同時に私の記事が、とある人物氏のブログへとアップされてしまいました。つきましては関係者各位、特に、とある人物氏の記事を楽しみにしておられた方々に多大なるご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。なお、本件における経済的な損失は300円ほどと見られております。

また、どういった経路にてこのような計画的なミスが発生したのか、聞き取り調査による原因究明を急ぎ、再発防止に努めて参ります。

なお、私が書かせていただいた記事につきましては、前記事のBあたりを押すことによりたどり着けるやもしれません。見つけて読んだ際にはげんなりしていただくよう、ぜひともよろしくお願い申し上げます。

matohazure☆

お小噺


なんでも往来で下着を見せびらかしていた自称20代の女性が逮捕されたなんてニュースを少し前に目にしたわけですけれども、けしからんのは30代女性が20代だと年齢を偽っていたことでもなく、公衆の面前で下着を露にしたことでもなく、この前スーパーで買ったイカそうめんが全然切れてなくて、単に切れ目の入ったベローンとしたでかい刺身だったということに尽きるのでございます。さておき「下着を露に」というと、なんだか必要以上にいやらしい語感なのはこのところの暑さのせいでしょうか。そんなふうに世の中乱れに乱れておるわけでございます。

とまあ、乱れるには乱れるなりの理由があると考えるのが道理でございまして、これは種の法則とでも申しましょうか、遺伝子が持つ多様性を生むチカラといったような作用が肌理細かく世間に影響を及ぼしておるやもしれません。ひとくちに「焼肉屋」と申しましても無煙ロースターもあり七輪のような炭火もあり、果てはコスプレ焼肉などという風俗まがいのけしからん焼肉屋まで登場する始末。いくら多様化するのが宿命とはいえコスプレはない。中途パンパすぎるではないですか。いっそノーパンぐらいまで進化せねば世間様は納得しないってものでございます。

とまあ、科学的根拠に基づいて世間の乱れを認めるにしろ世の中というのは不思議なもので、氾濫が起きると淘汰が始まるんですね。増えれば減る、開けば閉じる、電球は光る、光るは親父のはげ頭、といった具合に自浄作用というか自然淘汰という法則もさもありなんでございます。乱れた世の中に品格を!作法を!と言わんばかりに、最近ではそのテの書籍やらセミナーやらが流行の兆しを見せております。また、コンプライアンスなんていうまやかしの呪文で規制に縛り付けたりする傾向もありまして、収束するチカラには猜疑的な念を抱かずにはいられないものです。

とまあ、規制や淘汰が悪いような物言いをしてしまいましたが「品格」なんてのは我々現代人が忘れがちな大事なナニカであることは間違いないわけでありまして、せいぜい人様に後ろ指を指されない程度には品格を纏いたいと思うわけでございます。手っ取り早いところでは丁寧な言葉遣いなんてのがありますが「お紅茶いかが?」なんて結構じゃありませんか。「お砂糖はおいくつ?」なんて訊かれたら思わず「お万個お願いします」なんて言ってしまいそうでございます。そして嗜み。絵画なんて良いと思いますね。芸術は心を豊かにしてくれます。

おアートがよろしいようで

サービスって、なんだろう。


 かれこれ2年以上も通っている美容室で、カットの前にアンケートを書かされました。

本日のカット担当の希望はございますか
□男性
□女性
□どちらでもよい

アシスタントの希望はございますか
□男性
□女性
□どちらでもよい
(ご希望に添えない場合がございます)

 なるほど。サービスの質を高めるためのアンケートですか。
 そりゃまあ、どっちかって言ったら女性の方がいいけど、自分の中では美容室は苦行の場であって、カットの最中は「居心地の悪さに耐える」という作業に没頭しているのでどちらでもあまり関係ありません。というか、アシスタントの希望まで聞くってのはどうなんでしょうか? そういうわけで「どちらでもよい」で。

仕上がり時間のご指定はございますか
(  時  分頃)

 忙しい人向けの設問ですね。基本的に髪を切りに行く日は後の予定を入れないことにしているので関係ありません。カットの最中に聞かれるよりはマシでしょうか。この設問は無記入で。

シャンプーの際の強さはどれくらいがよろしいですか
□しっかりとした力で
□程よい力で
□弱い力で

 なるほど、強さですか。強さ、強さね。うーん、分かんない。強さの基準が分かんないから「程よい力」で。

肩のマッサージのお好みはございますか
□強くやってもらいたい
□程よくやってもらいたい
□弱くやってもらいたい

 また強さ?? 正直、ここまでサービスのレベルをすり合わせる必要あるの? って疑問に思うんですけど。ここもまあ「程よく」で。

普段、どんな雑誌をお読みですか
(           )

 オシャレな雑誌のひとつも書いておきたいところだけど残念ながら。もし「デラべっぴん」って書いたらどういう雑誌をチョイスしてくれるのか。なんかこの設問に関してはセンスを丸裸にされそうなので無回答。どっちみちアレを読まされるわけでしょう? CUTだ、CUT、CUT持って来ーい!!

以前に、パーマ液などで湿疹等が発生したことはありますか
□ある
□ない

ご希望のカットはお決まりですか
□決まっている
□決めていない

 おっと、ようやく実用的な設問が。
 ていうかさオレってさ、ヘアスタイルに明確なビジョンを持たないっていうスタイルを突き通してるジャン? だから「どうなさいますか?」って聞かれても困っちゃうんだよねー。まあ美容師も困るんだろうけどねー。ま、だからこの設問は胸を張って「決めてない!」って言えるチャンスをオレにくれたよねー。ていうか、ていうかさ、このアンケート長くね? そろそろ終わりにしたいからサクサクって次の設問行っちゃおうぜー。

カットの際、お話ししたいですか
□話したい
□程よく話したい
□静かにしていたい

 開けよった。ついにパンドラの箱を開けよったでこの美容室は。血の巡りがカァーってなったし、全身がズゥンって感じになりましたよ。このエリアにはどんなことがあっても触れたりしないという協定が、私たちと、あなたたちの間にあったはずですよね? あからさまなデリカシー違反ですよね? そもそも、話したいのかそうでないのか、その辺りの機微を読み取るのが客商売ってもんなんじゃないですか? ここはあれですか? ゆとり美容室ですか? そうじゃないって? ふん、どうだか。そんな必死に言われてもね。

 だいたいね、こんなのがサービスのわけないじゃない。めちゃくちゃ答えづらいじゃない。静かにしてたくても「程よく話したい」につけちゃうじゃない。めちゃめちゃ気ぃ使うじゃない。客に気ぃ使わせてるじゃない。あのさ、もしさ、あなた方がサービスの質を高めたいと思ってるんだったら、こういう設問があってもいいんじゃない?

カットの際、語尾はどうしますか?
□ナリ
□ごわす
□アル

例えばこんな感じ。

「シャンプー台のほうへどうぞナリー」
「かゆい所はないでごわすか?」
「お湯加減はいいアルか?」

 サービスだねえ、すごくいいサービスだねえ。これぞサービスだよ。
 あと、こういうのもあるよ。

カットの際、合間合間にさりげなくチンコを触られたいですか?
□触られたい
□触られたくない
□程よく触られたい

 こういう設問を追加する覚悟があるなら「ゆとり美容室」発言を撤回してあげてもいいんだけど、やっぱダメ? ダメですよね? いや、あの、どうしてもダメ?

ゴールデン日記


 飲みすぎてしまい起き抜けに吐瀉物。
 小中高と縁のあった友人と久しぶりに会えたのがよっぽど楽しかったんでしょうなあ。でしょうなあ、ってのは後半の記憶がまったくなくて。

 途中、友人が女の子の友達を呼んだのですが、ノリのよい子だったので下ネタの歯止めが効かなくて、最終的に「それ、引く」みたいなことを言われた記憶が、あー、なんにも思い出したくありません。

 気がつくと隔離された部屋で薄っぺらい布団と座布団を枕にして寝ていました。畳の上で。もー体のふしぶしが痛い。で、冒頭の一行に至るというわけで。ビタ一文使いものにならない体たらくで丸一日が終わってしまいました。

ほんでもってまたもやプロフィール更新です。
http://2manji.jp/matohazure

あと、短歌も。
http://d.hatena.ne.jp/matohazure/
最近はこっちのほうが書いてて楽しいです。
よければどうぞ。ただし、過度な期待は禁物です。

メロンソーダ


 窓際の席、後ろ姿が見えた。
 呼び出された理由がなんとなく分かっているから、足取りが重い。無言で向かいの席に腰掛けると、ストローで氷をつつく手を止め目を上げた。僕は、彼女の、この上目遣いがすごく好きだ。

「ひさしぶり」

 そう声をかけると再び目を落とし、氷をもてあそびはじめる。深夜の国道を、気が触れたようなスピードで走り去るトラック。沈黙。時間の感覚が麻痺するほどに僕の胃はキリキリと痛んでいて、ああ、もう、この空気、我慢できない。

「あのさ、ハナシっ……」
「ご注文の方お決まりでしょうかー?」

 唐突に店員が現れた。
 僕は手元のメニューを開き、最初に目に入った文字列を口にする。

「あの、コーヒーで」
「お砂糖はおつけいたしますか?」
「はい」
「ミルクはおつけいたしますか?」
「いや」
「ホットとアイスがございますが」
「え、じゃあ、アイスで」
「では、お砂糖ではなくガムシロップをお持ちしますがよろしいですか?」
「えーと、はい」
「ご注文繰り返します、アイスコーヒーおひとつ、でよろしいですか?」
「はい」
「ガムシロップありの、ミルクなしで」
「ええ」
「ではごゆっくりどうぞー」

 誰も渡ることのない横断歩道の青が、急げ急げと点滅している。
 店員によって作られた二度目の沈黙。それを破ったのは彼女の方だった。
  
「そういうところが好きじゃないの」
「え? なにが?」
「今の注文、効率悪すぎ」
「いや、今のは店員のせいだし」
「鈍臭いって言ってんの」
「だから今のは」
「あんたが鈍臭さを呼んでんのよ」
「僕が?」
「そうよ」
「あ、いや、だとしても、それがなんなんだよ」
「別れたいのよ」
「……」

 やっぱり。
 たぶんたぶんと思ってたけど、やっぱり。

「そうか」
「そうなの」
「……じゃあ僕もひとつ言わせてもらっていいかな」
「なによ」
「これって、別れ話でしょ?」
「そうよ」
「じゃ、メロンソーダはないよ」
「は?」
「なんなの? その色」
「別にいいじゃない」
「なんか、沼みたいだし」
「意味分かんない」
「色合いが沼だって言ってんの」
「意味は通じてるわよ!」
「こういうときって、男・コーヒー、女・紅茶でしょ?」
「ドラマの見過ぎよ」
「目がチカチカするよ!」
「知らないわよ!」

 僕たちは、本当にこれで終わってしまうのだろうか。
 嫌だ、嫌だ嫌だ。僕は、彼女が大好きなんだ!

 三度目の沈黙を破ったのは、店員だった。

「サイコロステーキお待たせしましたー」
「いや、頼んでないですけど」
「あ、大変失礼いたしましたー」

 ホラね、と言わんばかりの彼女の視線が突き刺さる。知らない振りをしてふと横を見ると、3つの皿を抱えた別の店員が厨房の方からこちらに向かってくる。

「カツオのたたきサラダお待たせいたしましたー」
「あの、頼んでませんけど」
「失礼いたしました、カツオのたたきご膳のほうですね」
「いやいや、それも頼んでないです」
「カツオのたたき単品お待たせいたしましたー」
「消去法!」
「はい?」
「残ったやつが正解って訳じゃないからね」
「誠に申し訳ありません、大変失礼いたしましたー」

「ちょっと待って!」
「はい、なんでしょう?」
「アイスコーヒー頼んだんですけど」
「あちら、ドリンクバーとなっておりますので」
「え?」
「セルフサービスでお願いします」
「えー!」
「ねねね、ついでにメロンソーダ汲んできて」
「うん!」

メロンソーダ