以前に、「赤ちゃんが乗っています」という記事を書いた。
あのステッカーに対して抱いていた感情への折り合いをつけるため、デロデロとした思いを記事中に吐瀉した。これでもう、例のステッカーを見かけても不毛な苛立ちをおぼえたりしない。・・・はずだった。
先日、信号待ちの際、例のステッカーを貼った軽自動車を見つけた。でも大丈夫、嫌な気分になったりすることはない。私の中ではもう済んだことなのだから。
舞妓さんのような「はんなり」した気持ちで目を細めステッカーに目をやる。一旦、視線を戻し、再び目をやった。二度見である。眼球が乾いてしまっても、まばたきが出来ない。なんということだろう。そのステッカーにはこう書かれていたのだった。
「赤ちゃんがノッてます」 [画像]
パーーーーーーー!!! パ、パ、パ、パァーーーーーーー!!!
クラクションを執拗に鳴らしながら、どこまでも追い回したい衝動に駆られた。といえば言い過ぎだが、不愉快がこみ上げてくる。
「赤ちゃんが乗っています」であれば、「赤ちゃんが乗っているから煽らないで」という善意の解釈をひねり出すことが可能だが、「赤ちゃんがノッてます」に関しては、後続車へのウケを狙った完全なるフザケである。
画像を見て、かわいい! と感じた方もいるだろう。
確かに、オムツを穿き片腕を上げた赤ちゃんのシルエットは、どこか憎めない部分もあるにはある。しかしそれは、生命の危険を伴わないインターネット空間だからだ。鉄の塊が猛スピードで行き交う、死と隣り合わせの路上においては、その圧倒的な「どうしようもなさ」と絡み合い、ドライバーのメンタリティーに多大なる悪影響を及ぼし、思わぬ事故を誘発する要因となる。
「ね、ね、ユーモアのセンス、あるでしょ?」
とアピールしたくて、これ見よがしに貼っているのだろう。しかし私には「スベり」という致命的な故障を抱えた事故車にしか見えないし、中古車屋のオーナーだったら、間違いなく買い取り査定ゼロをつける。持ち主の顔面を指差し、「ゼロ!」と叫びながら。
1台見たら50台はいると思え。
その言葉を信じるなら、「赤ちゃんがノッてます」ステッカーを貼った車が、止むことのない「スベり」を撒き散らしながら、全国各地を走り回っていることになる。
もし、その車を見かけてたとしても、どうか堪えて欲しい。何があっても、彼らの挑発にノってはいけない。ただ、永遠にスベらせておけばいい。
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赤ちゃんが乗っています
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