大自然保護罪


そっけない黒髪立体感のないメイクに厚めの黒ブチを掛けてはいるが外せばその実、戸田恵梨香似に違いないダイヤの原石臭ぷんぷんのファミマレジ子が缶コーヒーをふわり両手で包みながら「袋にお入れしますか?」と上目遣いで聞いてきたので「そのままでいいです」と言った。「そのままのキミでいいです」と言った。早口で言った。彼女を守りたい。尾瀬の自然よりも守りたい。NPOを設立してでも守りたい。彼女という大自然がいずれどこぞの馬の骨によって伐採されることを思うと胸張り裂けるが、果たして守ることが最良の選択肢なのだろうかと頭上の疑問符は訴える。開発阻止イコールけもの道を歩ませてしまうのではないかと。リゾート地への若芽を摘んでいるのではないかと。彼女にとっての本当の「幸せ」とはなんだろう。休日のバイパス、Tシャツをはためかせながらの缶コーヒーはただただ苦く喉を通り過ぎるだけ。空がやたらと青いだけ。
 

ポイントカードなんていらない


 いまさら声高に訴えるようなことじゃないけども、なにかにつけポイントポイントってうるさい。うるさくてかなわない。今日だってセルフのスタンドでガソリン注入してたらポケットティッシュ片手に「ポイントカードはお持ちですか?」なんてニヤニヤしながらにじり寄ってくるし、ファミマ行ったら絶対に「Tポイントカードはお持ちですか?」って聞かれるし、そのたび「いいえ」って答えなきゃなんないし、ライトオン行ったら行ったで「ポイントカードはお持ちですか?」って聞かれて「あの、いや」って口ごもったら「それではお作りしますね!」なんつってさっさかポンポン5ポイント押されちゃったりして。もう、やめて! こんなのあれじゃん、ポイントゾンビじゃん。押しのけても押しのけても、湧いて出てくる、ポイントゾンビじゃん!

 でもね、スタンドもファミマもライトオンも「ポイントいらない!」って言えるけど、アマゾンとか楽天とかのあいつらは問答無用だから質が悪い。勝手にポイント付与すんな! って野太い声で言いたい。重低音で言いたい。あ、ポイントごときでなにをそんなに鼻息荒くしてるのかって、みんな思ってるみたいだから言うけど、ポイントの何がダメかって、みみっちいこと。いつ満期になるや先の見えないカードで財布が立方体になってたり、ログインするたびにポイント数をチェックして何に使おうかなんて考えてる自分がやだ。やだよ。

 『人はポイントを付与された瞬間に、その価値が7ポイント低下する』

 これ、いま考えた名言なんですが、たとえば、哀川翔がアマゾンで買い物をしてもポイントは付与されるわけです。だって、それがアマゾンだから。アマゾンのやり口だから。きちんと考えてみてくれますか。あの、哀川翔が、Vシネの帝王である哀川翔が、お買い物ポイントを保持しているという状況を。さらに、夜な夜なポイント数をチェックしている光景を。1ポイント=1円の仕組みを理解している事を。ポイントを使おうか貯めようか逡巡している事実を。ねえそれって、みんなが知ってる哀川翔? 違うでしょ? シチュエーションが安いでしょ? そうであって欲しくないでしょ? 「俺、不良品」に書かれてることが嘘になるでしょ?

 このままじゃ日本はダメになる。こんなポイント大国ぶりじゃ徹底的にダメになるよ。ダメになるあるよ。一億総みみっちいになっちゃう。だからオレはポイントカード捨てる。7枚あるポイントカードの一切合切を。そのかわり、気になるあの娘の好感度ポイント獲得に専念する。重い荷物持ってあげたり、ハンカチ拾ってあげたり、顔色伺ってなにかとご機嫌取ったりする。50ポイント貯まったら触らせてくれるんじゃないかな、おっぱい。


 

健康診断日記


 今年から胃がん検診と大腸がん検診つうのがメンバー入りした訳ですが、これってある一定の年齢になると自動的に組み込まれるやつなので私が何十何歳なのか言わずもがなで分かってしまうのですが、もし分からなくても聞かずもがなネットで調べずもがなでお願いしたい次第です。

 つうかなんですか? あの胃がん検診ていうの。リアクション芸人の罰ゲームなんでしょ? え? 違うんですか? じゃあ一体なんなんですか!? 爆発的にシュワシュワする粉末を飲ませときながら「ゲップは死んでも出さないで」とか注文つけるなんて。あのね、頓知レベルでしか解決出来ませんよあんなの。ていうか、なんかこんな感じの芸人いるじゃないですか。歴代首相を言い切ります、みたいな。んでまあ、そんでまあゲップを我慢しながらですね、冷やした生コンみたいな重たい液体を「一気に飲んで!」って、うええうええでやっとこ飲み込んだと思ったら、近未来っぽいでっかい機械に載せられてぐるんぐるんぐるるんるん、てな感じでぶん回されて。で、ぐるんぐるんされながらも「右向いて」とか「左向いて、あ、ちょっと右に戻って」とか「はいー、一回転してー」とかいう指示をこなさなきゃならないなんて。会社のオッサンが「宇宙遊泳みたいだ」って言ってましたけどホントですよ。なんかもう行けるような気がするもの宇宙に。気がするし、で、うーん、・・・もういいか、胃がん検診の話は。

 で、大腸がん検診なんですが、まあ検診といっても事前に2日分の便を採取するだけなのに「確実に採取しなければならない」っていう重圧に侵されて全然出ないんだなコレが。あ、なんかいまの和久井映見っぽくないですか? ぽくないですかそうですか古いですかすいません。ほんでまあ悪いことに検診の前日が日帰り東京出張で、生活リズムの変化に弱いアタシは、アタシあねえ。って浅香光代っぽくないですか? ですよねぽいですよね。まあとにかく出ないわけでまいったんです。

 結局ですね、出張から帰ってきた新幹線のホームでやっと「便意のようなもの」をですね、出口のあたりでわずかに疼いたというか。確定じゃない感じの。分かりますかね? このままズンズン歩いたら消え失せてしまいそうなそれを、かすかな虫の音に耳を澄ますように目を閉じて、この小さな便意が大きな便意に育ちますように、小さな便意たちが実を結び世界に平和が訪れますようにって、(このときの自分にとっては便意も善意も等価だったんです)立ちつくして祈ったらば、冗談みたいな話ですけど「通じた」んですね、これが。

 ンホー!!! 検診を明日に控えた紛れもないラストチャンスにテンション上げ上げ駅のトイレに駆け込んで踏ん張ったら100円ショップのかりんとうみたいなのが出ました。出たんです。なんか、かわいーって感じのが。「生まれて、すみません」って感じのが。いやいやありがとう、生まれてくれてありがとうございますって自分の便に敬語を使いながら採取ケースの蓋をひねって採取棒を105円に近づようと動いたら「ポーン」ていう電子音が鳴って、え? なんの音? と思う間もなく「ミズガ、ナガレマス」っていうアナウンスが聞こえてきて、ウソ!? ちょっと待った! ゴゴゴ、シャーーー!!! ・・・・・・うっそおおおおおん。なに?なに?なんなの? なんなのこれ??? なんのシステムエラーなの? って壁を見たらば「センサーで自動的に水が流れます」だって。ファック!ハイテク!

 しょうがないじゃないですか。ここまで追い詰められたらやるしかないじゃないですか。迷ったけどほかに手がないんですもん。というわけで、恐る恐る採取棒を肛門になすりつけたんですが収穫ゼロ。なんだよー、なんでこういうときに限ってキレがいいの? うーんこれはまいった。どうするどうする? いや、どうするって、もうこうなったら自分自身の潜在能力に掛けるしかない。しかないわけです。この場合の潜在能力とはもちろん「便力」。同じ轍を踏まぬよう便器のエリア外にトイレットペーパーを敷き詰めて踏ん張るマン・サンジェルマン。こめかみがピリピリするくらい頑張って踏ん張って出たのが、まるで妖精のような物体で。「迷子になった妖精さん?」ってやさしい声をかけたくなるような、サンリオのキャラクターみたいな、そんなアレだったわけですけど。

 ・・・・・・あのですね、大変申し上げにくいのですが、ここまで書いてきてオチをどうしようか悩んでいるというか、これ以上こんな話題で悩みたくないというか、くだらなすぎて疲れてしまいましたのでひとつ提案なのですが、たとえば「最後まであきらめないで頑張れば夢は叶う」みたいな教訓というかエールというか、そんな感じでこの話を締めくくりたいと思うのですが、いかがでしょうか?

空も飛べるはず日記&コラボックルニュース(0807)


 年に何度か、空を飛ぶ夢を見ます。空を飛ぶと言っても優雅に大空を舞う鳥のそれではなく、例えるならば、スーパーマリオの海ステージにおいてAボタンを押した分だけビョッ、ビョビョッと浮上するような感じの、しかも飛行高度は電線レベルという、「空」より「空中」と表現した方がしっくりくる「必死なオバQ」とでも名付けたい飛び様なのです。

 で、具体的な部位は分からないのですが、体のどこかに力を入れる、もしくは意識することにより飛ぶ仕組みになっているようで、そのせいか、水揚げ後の魚みたいに体をビクつかせながら汗ぐっしょりの疲労困憊で目覚めるのが常です。淫らな行為の夢から覚めた際にも腰を振っていることがありますが、疲労具合はその比ではなく、空を飛ぶことがどれだけ大変なのかを物語っていると言えましょう。

 でもまあ「必死なオバQ」だとしても、飛んでいるときはそれなりに楽しいものです。それに引き替え、実生活でのいろんな意味での飛んでなさ加減といったらありません。ああ飛びたい。飛びたいし飛ばしたい。せめて「パーマン」レベルで飛び回りたいし、あわよくば「フランスの作曲家ドビュッシー」レベルで飛ばしたい。

 いま、ふと思いつきで「空を飛ぶ夢」をgoogle検索してみたら「空を飛ぶ夢は性的な欲求のあらわれ」と出てきました。えええーそうなの?まいっちんこ。どなたか詳しい方、善意の解釈求みます。

 さて、やっとこ隆光ダイアリーの告知です。
 今回は豪華です。こういうのはどうですかねえ?と提案したシチュエーション両方を描いてくれました。今回も、ほにゃみさんに大幅に助けられた感じですありがとうございます。しかも、わざわざ8月7日午前0時にアップしてくれました。やだよ恥ずかしいって言ってるのに「どうしても!」と言うので渋々承知しましたウソです。本当は初めから8月7日にしてもらいたいとムッツリ思っていましたすいません。

ではどうぞ。

隆光ダイアリー 第五関節
http://d.hatena.ne.jp/honyami1919/20080807

ロックンロール日記


 ほぼ直線のみの通勤路に飽きて別ルートで帰る。全部の窓を全開にして、ただただ広いだけの農道へと折れ、Tシャツをはためかせる夕風に体温を奪われながらひたすら車を走らせた。対向車も後続車も見えない時速65キロ。「チン、コッ!」言葉のチョイスに意味なんてない。大声を出してみたかった、ただそれだけのこと。すうう、と大きく深呼吸をした瞬間、むせ返るほどの堆肥臭があっという間に車内を制圧した。これが、俺が住む町の現実。だからといってあたふたと窓を閉めたりはしない。車内をがむしゃらに暴れ回る芳香にまみれながら、何事も無かったかのように、しっかりと受け止めるようにして、ただただ走り抜けた。ロックンロール。

 コンビニで43円のお釣りをもらった。1円足りない。「あの、1円足りないんですけど」手のひらの小銭をそっくりそのまま差し出しながらぶっきらぼうな口をきく。たった1円だろうが、足りないものは足りないに相違ない。「失礼致しました」メガネでハタチの店員が1円玉を43円の上にカチリと落とす。「ありがとう」俺はそう言ってすかさず手のひらの44円を募金箱へザラザラと流し込みレジに背を向ける。なんの募金かなんて知らない。膨らむサイフが嫌いなだけの、俺は偽善者なんだ。ロックンロール。

 街を歩きながら熱い屁をした。どうやら間違えてしまったらしい。足をくじいたような歩き方でデパートのトイレに立てこもり、ウォシュレットでじっくり時間をかけて清潔にしてから、丸めたトランクスをゴミ箱へ投げ入れた。ぐわんぐわんと回って揺れるゴミ箱。俺は振り返りもせず街へと飛び出した。そして、下半身に風を感じながら駅までの道をどこまでも歩いたんだ。ロックンロール。

 カシュ。ホチキスの芯切れ。たまに使えばこのザマだ。トイレットペーパーだってそうだし、コピー機だって用紙切れ。今にして思えば交換ばかりしている。俺は生まれながらの交換手なのかもしれない。こうなったら、なんだって交換してやる。タイヤだってオイルだって電池だって日記だってタンポンだって、なんだって交換してやるんだ。ホチキスの芯をもらいに総務へ行くと、スナック菓子の袋を開けてほしいと頼まれた。10時のおやつ。ホチキス欲をくじかれ焦れつつオーザックの袋を引っ張る。これは、なんて手強い。ぬ、ぬぉっ!!! 掛け声とともに噴火するオーザック。そのサクサクした物体はスローモーションのように天井高くまで舞い上がり、そして白い花びらのように体に降り注いだ。そのとき俺はなんだか、祝福された気分になっていたんだ。ホチキス、オーザック、ロックンロール。